露地野菜生産システムの高度化

先日参加しました千葉大学土葉会の第324回例会の発表は、生育診断、生育予測、病害予測といったテーマで、農研機構の岡田領域長(野菜生産システム研究領域)からは露地野菜の生育モデルの活用を中心とした報告がありました。前提として、加工業務用途の野菜生産についてのお話でした。

 

〇加工業務用途の露地野菜の生産〜販売の課題

 

岡田さんは以前から露地野菜のキャベツなどの生育モデルの研究をされていました。施設園芸野菜と異なり、生育の制御はしきれず(せいぜい肥料管理)、天気まかせになっている現状について、予測を交えて、無いならないで早めに分かれば、取引上の対処があるというご意見でした。つまり、取引先からすると直前に言われても困るということで、生産管理水準が施設園芸に比べ圧倒的に低い露地野菜生産では、インフラとして情報化技術が絶対に必要という意見でした。これは、その通りだと思います。

 

・加工業務用の契約取引では、量的なことより、時間的な生産安定が大切、しかし制御はしきれない。

 

・時間的な問題のシーンを想定すること。

 

・販売まで見据えた生産、供給の安定を考えること。そのための定量化が必要となる。

 

〇生産者の定性的な判断と定量的な判断

 

岡田さん自身の生育モデル研究のご紹介もありましたが、生産者の判断についての言及があって面白く聞かせてもらいました。

 

・生産者は野菜のことを良く知っているが、そこに死角はないか。そこに革新のネタはないか? 人の頭の特性として落とし穴があり、それをどう防ぐかが技術開発のポイントになる。

 

・定性的な情報の保持能力は人は高い。「このレタスのできはいい」など。これは、高度な画像認識能力よるもので、レタスの葉の出方、たたずまい、おおよその生育ステージを読み取る力である。そのステージの標準の姿が頭にあって、それとの比較をしている。

 

・定量的な情報の保持能力は弱い。経時的な劣化が早い(昔のことは忘れる)。今年のレタスが生育が早い、といったことは平年ではなく昨年との比較で言っていることだが、その比較の質は意外に低い。

 

・昨年のデータがどんな特性かを補正をすることが必要になる。平年比較であればICTが役立つ。具体的な数値、言葉に落とし込むこと、補正することがポイント。きちんとした手順、オペレーションに落とし込み、現場の改善につなげられる。

 

どうでしょうか? これは普段の自分の判断行為にも当てはまりませんか? 理屈の達者な岡田さんならではのお話でした。

 

〇露地野菜の生産管理システムのイメージ

 

以下は生産管理システムについて、岡田さんのお話の忘備録です。

 

・露地野菜の契約取引は大規模化で、借地による規模拡大が進み、分散多数圃場になるっている。

 

・1法人で200〜300の圃場になることもあり、人の頭では管理できないため、生産管理システムがいる。

 

・収穫遅れ、作業遅れも致命的であり、契約量と出荷量のミスマッチの問題もある。2週間から一月前までに予測することで、事前の交渉が可能になる。2週間前が取引先との交渉期限で、別な先への販売では一月前に行う必要である。

 

・販売取引の中で、時間や量が価値を持つ。それにより、生産管理での手間と時間を回収すること。

 

・2-3日前では不利な取引になる。2週間以上前から準備すること。

 

・契約取引では2-3割多く作る。天候不順なら良いが、天候が良いと余るし、コストが回収できないと困る。その対処は一月前から準備すること。

 

・生産管理システムの要件には、多数圃場、連続定植、3日-1週間置きの定植(レタスの場合)など、生産者自身が管理できていない要素がある。また出荷予測できていないことも補助する必要がある。

 

・販売管理システム側でも、生育予測情報を生育予測モデルを使い行いたい。

 

・収穫量=面積×正常個体ベースの反収(生育モデルによるその年の気象条件からの予想値)×歩留まり(欠株、生育不良の個体割合、生育センシング(個体レベル)で対応:衛星ではなくドローン利用になるか?)。

 

・広域でJAが管理する場合、農家からの報告で行っているが、あてにならない。面積も不正確。

 

話はつきませんが、施設園芸より面白そうですね(笑)。

 

育苗ステージから含めた生産管理が必要では?との質問が千葉大の丸尾先生から出てきましたが、まったくその通りだと思いました

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

加工業務用キャベツの入った鉄コンテナ