韓国のパプリカ生産と輸出産業化

農畜産業振興機構から毎月出される野菜情報に、「韓国のパプリカの生産、流通および日本への輸出動向」という調査レポートが掲載されています。手広くまとめられた、良いレポートだと思います。

https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1901/kaigaijoho02.html

 

○韓国のパプリカ生産と販売の状況

 

現在の韓国の状況を一言でいえば、施設面積が700ha以上で、年間生産量約8万トンのうち日本向けに約3万トンの輸出があり、日本国内シェアの8割弱を占め、年々成長をしているということです。その背景には、輸出産業としての国策による育成があり、形を変えながら様々な補助事業があったこと、また販売面では海外向けの品質管理、マーケティングなどを一括で行う仕組み(輸出会社)が発達していること、などがあげらていれます。

 

反収ベースでも21〜25トンという集計値が示されており、レベルの高さが伺えます。このレポートでは触れられていない、韓国のパプリカ栽培の発展のポイントについて、私なりに述べてみます。

 

 

 

○ソフト面の支援体制

 

パプリカの栽培技術はオランダで発達しており、また樹高が高く高軒ハウスが必要なことから、オランダからの技術導入が前提となっています。韓国では農家向けの研修機関を産地の道内に設立し、オランダを始め海外講師を呼んだ週単位の集中講義を長年継続しています。集中することで海外講師の知識やノウハウを余すところなく吸収することができ(講師はすべて吸いとられるかもしれません) 、また長年継続することで生産者の知識も常にアップデートされると思います。

 

韓国慶尚南道の研修機関ATEC
ATEC併設のパプリカ栽培施設 他にもトマト、イチゴ、キュウリ、トウガラシなどの栽培施設が合計1ha程度ある。

 

 

栽培技術の個別指導を行う技術コンサルタントも、登録制度とともにコンサル料金に対する補助制度も整備され、生産者が利用しやすい形態になっています。海外からコンサルタントを呼ぶケースも今でもあるようですが、こうした制度によって韓国内のコンサルタントのレベルも徐々に向上してきたと思います。                                    

 

○エネルギーコストの低減策

 

農業用の電力料金に大幅な減額がされており、電気ヒーター式の温湯装置など日本では考えられない機器も普及しています。最近では寒冷地での効率が高い地中熱利用のヒートポンプの導入も補助制度により進んでいます(レポート参照)。高温性作物であるパプリカの栽培ではエネルギーコストの低減策により、競争力が増していると考えられます。

 

韓国製のヒートポンプ

 

○外国人労働者の導入

 

韓国では政府が外国人労働者を管理し、労働力が不足している産業に外国人を割り当てて、その分野の企業数が直接雇用する制度が確立されています。外国人側も韓国語の習得が義務付けられている訳でもなく、日本の技能実習制度に比べ就労のハードルが低いと思われます。パプリカ生産者も住み込みで外国人を雇用しており、労働力の供給と雇用環境の確保の両面で安定化がはかられていると思われます。

 

韓国のパプリカハウス

 

以上のように、政府が輸出産業と位置付け、様々な政策支援や制度整備を行っているのが、韓国のパプリカ生産の強みの背景と考えられると思います。日本の施設園芸業界でも参考にすべき点が多い産業と思われます。

 

 

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