AIと農業

JUGEMテーマ:農業

 

農業はバラツキの産業と言われています。規格化された工業製品に比べ、農産物は一つ一つが異なっており、それをいかに揃えて育てるかに苦労があります。また収穫の後工程として、選果や選別、調整があり、多くの労力や機械を投入し、規格別に分けたり、揃えたりという作業を行います。その結果、スーパーなどの店頭には野菜や果物が、色、形、重さがぴったりとまでは行かないまでも、整然と同じようなものが並んでいます。

 

韓国のスーパー店頭
韓国のスーパー店頭

 

こうした収穫後の後工程には、箱詰めや包装もあり、さらに輸送車による出荷まで冷蔵庫などに保管する工程もあります。バラツキがある収穫物を基準に従って選別し、規格ごとに揃えて包装して適時に出荷することで、商品としての価値が生まれます。収穫物をそのまま出荷しても客先は引き取ってくれません。客先が要求する規格を実現することで価値が生まれ、また規格を提案することで新しい価値が作られる場合もあります。規格から漏れたものも廃棄せず、別の規格で安く販売したり、どうしても売れないものはジュースやジャムなどに加工する場合もあります。

 

前工程に当たる栽培で、きちんとした農産物を作ることが大前提なのですが、売上を生むのはむしろ後工程になります。ここでの歩留まりや作業の優劣によって、商品の付加価値が大きく変わることもあります。本題のAIと農業ですが、AIがこの付加価値の向上に寄与しつつあります。

 

一例として、ミカンやトマトなどの果実の選果機があります。選果作業を機械化する選果機はライン化されており、ラインに載せた果実を計測し、重量、形状、糖度などに分別するものです。いずれもカメラや各種センターでの非破壊計測を用い、果実一つ一つについてソフトウエアでの分析とハードウエアでの選別を行います。この過程で、計測値×果実数の膨大なデータが発生し、PCを搭載した選果機はビッグデータの固まりとなります。例えば1ha規模のトマト温室では、一日当たり1t程度の出荷があり、トマト果実が平均150gとすると1日に6666個の選果が行われます。これは年間で260万個程度の果実数になり、また平均20gのミニトマトではさらに多くの果実数となります。

 

選果機での選果の瞬間

 

カメラやセンサーで計測した値に基づいた選果では、求められる規格に対してある程度の誤差が発生します。誤差によって小さ目の規格に選果された場合はクレームの原因になるかもしれません。大き目の規格に選果されるとロスとなります。ここでAIの出番となるのですが、計測値と選果結果について過去のビッグデータを学習させ、機械側の選果基準の調整を行います。数を重ねるほど学習効果が現れ、選果の誤差も縮小され、より正確な選果が行われることで付加価値の向上が期待されます。こうしたAI利用は、開発段階のものもあれば、すでに現場実装されたものもあります。農業でのばらつきを逆手にとって付加価値を生むようなAI利用は、まだまだ色々な可能性がありそうです。