工場野菜を大衆野菜へ

昨年のことですが、大阪府立大学植物工場研究センターの研修に参加しました。このセンターは人工光型植物工場の実物があって日産3000株規模だったと思いますが、日夜生産をしています。大学内施設で研究と実証を兼ねての運営ですが、人材育成のための研修も盛んで、太陽光型植物工場の内容とミックスでの研修メニューとなっています。

 

〇焼き肉チェーン店店長出身の植物工場工場長

 

今回の研修のうち人工光型植物工場の講師は、福井県小浜市に立地する木田屋商店小浜植物工場greenlandの島田工場長でした。島田さんは自己紹介で、前職が京都の食べ放題焼き肉チェーンの店長で、植物工場や野菜生産にはまったく関係の無い職業であったものの、サンチュなどの葉物野菜のユーザーで仕入れには気を使っていたこと、パートさんたちの人件費や扱いにも苦心していたことなど、今の植物工場運営には遠からず関係があった、という自己紹介で始まりました。

 

〇大衆野菜としての値ごろ感

 

初期に自社のレタスを持って量販店のバイヤー向けに営業に行ったとき、自分らの提案した価格とバイヤーが言う消費者の値ごろ感の価格があまりに開いていたことに愕然とした話が続き、バイヤーからは、コストの積み上げでは話にならず、消費者が買いにくる一般レタスの価格に合わせた提案でやってほしく、特別な付加価値はいらない、という話でした。まさに大衆野菜の感覚です。

 

〇大衆野菜としての業務用レタス

 

小売り向けのレタス生産は飽和に近いというご判断であり、それに対して業務用途のレタスや他の野菜生産はまだまだ市場があること、それには今の人工光型植物工場産レタスの出荷単価のキロ1000円程度を600円程度に下げる必要があるという意見(業務筋へのヒアリング等の結果から)で、自社の技術はそれに近い水準にあることをうかがわせました。その600円の根拠を、一般露地栽培の玉レタスの価格(年平均市場価格でキロ190円)と比べながら、歩留まり、安定確保のための営業コスト、異物混入リスク回避の検査コストなどから洗い出していました。業務用の大衆野菜としての工場野菜の生産が間近なのかもしません。

 

〇植物工場市場拡大の方策

 

木田屋商店さんは植物工場でのレタス生産をしながら、外部の植物工場の立ち上げや改善などの支援もしています。自社の工場、育苗施設、最近立ち上がった第二工場などの運営経験やノウハウがあることはもちろんですが、そうしたノウハウを秘匿せずに外部にどんどん出し、業界の規模を拡大することに重きをおかれているとのこと。まだまだ規模の小さい人工光型植物工場の市場拡大によって、たとえば自動化省力化の機械の開発のスピードやコストダウンを進めることにも役に立つと考えているとのことで、公益と自社の利益の両立を目指しているというお考えのようでした。素晴らしいと思います。

 

木田屋商店小浜植物工場greenland

 

 

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