植物工場の動向について

毎年4月には、勤務先で植物工場についての実態調査を公開しています。太陽光型や人工光型の植物工場の箇所数や、経営収支状況とその分析、都道府県別リストなどが掲載されています。同様な調査は他には無く、また経年で実施しているため、マスコミからの問い合わせ、記事掲載も多いものです。日本農業新聞でも毎年、紹介記事が掲載されています(今年はまだのようです)。以下に個人的見解、雑感となりますが、コメントを記します。
 


植物工場の収支状況

おおまかにですが、黒字、赤字、収支均衡という設問でアンケートを行っており、調査報告ではそれらの回答と、設置年数、規模、雇用者数などとの集計も行っています。「植物工場の半数が赤字」といった記事を良く見かけますが、年数を経て施設の償却が進めば収支も改善され、その傾向は調査結果にも出ています。また新規参入の場合は、特に初年度や2年目は生産が安定せず目標の出荷や売上に達しない場合もあると思われ、それも赤字発生の要因になっているはずです。初期投資額が大きいほど黒字化は長期化する傾向かと思いますが、資材費の高騰や自動化省力化の設備投資のなどにより、この傾向は続いていると思います。

植物工場への新規参入

植物工場の分野がマスコミの取材対象になっているのが自分としては不思議に思うところがあります。植物工場も一般の農業や施設園芸分野の一つであるはずで、特別なことでは無いと思っているためです。しかしマスコミ側とすればニュースバリューがあるから取材をされている訳でしょうし、植物工場情報に一定の需要があるためと考えられます。

おそらく多くの日本企業では、本業が安定化、もしくは低落傾向にあって、新規事業を常に模索しなければならない状況にあると思います。その際の対象にアグリ事業や植物工場事業が必ずといって良いほど取り上げられるものと想像をします。かれこれ10年ほど、そうしたことが続き、その間に新規参入と成功、撤退が繰り返されたことで、この分野に関心を持たれる一定の層が形成されたのでは、と考えられます。参入企業は製造業や食品産業、建設業など幅広く、また最近では融資や出資をする金融業の関心も高まっていると思います。

植物工場は特別か?

確かにLED照明でのレタス栽培などは、一般の農業と比較すれば極度に設備化や制御化が進んだ先端的な農業に見えるかもしれません。また、数ヘクタール規模の大規模なハウスでのトマト栽培も、一般の施設園芸に比べれば別世界に見えると思います。その分の投資額も増え、同じトマトやレタスを作っている露地農家や施設園芸農家との競争で不利にならないよう、栽培品目や品質で特徴を出すことが植物工場経営のポイントのように言われて来ました。

しかし、植物に期待される能力と収量(最近はポテンシャル収量と呼ばれることが多い)を実現するよう、環境を調節し、水分や肥料を適切に与えるという栽培の基本は、一般の農業でも植物工場でも変わらないと思います。一般の農業と異なる点として、巨額の投資を回収するための経営能力や、大量生産による収穫物の販売能力、大勢の作業者などを管理する組織運営能力などがあると思います。しかし、これらの能力は製造業や流通業などの企業経営では当たり前のように行われていることで、取りたてて植物工場向けに考慮しなければならないことでは無いでしょう。

以上のような雑感ですが、マスコミの問い合わせ受けたり、記事を拝見するたびに思っております。そうした間にも現場の改善もどんどん進んでおり、植物工場の経営なんて簡単です、といえる時代が来ることを期待している訳です。

 

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