季節の前進と農業生産

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今年の桜の開花は例年より早く、春の訪れも前倒しでした。連休中も夏日が続きました。また連休後も梅雨のような天候が続いて、季節が前進化している様子です。

 

東京の今年4月の平均気温は17.0℃でした。1981年から2010年までの4月の平均気温が13.9℃ですから、+3.1℃も上昇しています(気象庁のデータより)。また今年3月の平均気温も今年は11.5℃で、1981年から2010年までの8.7℃に対して+2.8℃の上昇でした。

 

これだけの気温の上昇があると植物の生育も前倒しとなり、価格にも影響がでています。一例としてレタスの価格があります。日本農業新聞(5月9日付け)では、5月上旬の相場価格は過去5年平均の2割安であり、高冷地の長野産が前進化して茨城産と重なり出回りが潤沢化したためとしています。今年のレタスは3月後半から潤沢に出荷がされ安値続きで、5月には長野産も重なり荷動きも鈍くなっているようです。

 

レタスの価格は昨年の夏からの曇天や長雨の影響で年明けまで高騰していましたが、それがウソのような状況になっています。それだけ天候の変動が激しくなっており、その影響を農業が直接受けてしまう構図が明確になっています。この先は平地のレタスが早く切りあがって、価格は持ち直すのかもしれませんが、これも天候次第でしょう。

 

沖縄県南城市のレタス畑

 

以上は天候とレタス生産と価格についてのスポット的な見方ですが、日本の農業生産をマクロ的に見れば、産地の北上という傾向が浮かび上がります。例えば柑橘類の栽培は温暖な静岡県や愛知県、和歌山県、愛媛県などが産地でしたが、現在は関東地方や南東北まで広がっています。これは気温上昇により栽培地域が北へ拡大している例です。

 

露地栽培(一部ハウス栽培)の柑橘類に対し、施設園芸による果菜類でも同様な傾向が見られます。日射量が豊富な東北太平洋岸で、トマトを中心としたハウス栽培が増加しています。施設園芸が盛んな地域は、九州、四国、東海、関東地方に分布していましたが、ここでも栽培地域が北へと拡大しています。

 

今後もこうした傾向は続くと考えられますが、北上に伴って日照時間の制約もあるため、作物による北限も生じるでしょう。新たな農業生産を考える場合には、まず作物に適した気象条件と適地を検討する必要があると思います。労働力や物流網の確保といった重要な地域条件もありますが、自然相手の農業では気象条件の把握と評価がより重要になるでしょう。年々厳しくなる猛暑や寒波、極端に短くなった春と秋、頻発する豪雨や台風の被害、こうした悪条件を回避しながら、その作物にあった地域の選定を考える必要があるでしょう。