高知図書館の農業書と施設園芸史

〇農業書の蔵書が豊富な高知図書館

 

高知城や高知県庁の近く、高知市大手町に今年夏に新築オープンしたオーテピア高知図書館があります。地元産(たぶん)のスギを内装にふんだんに使って、樹の香りのする落ちついた図書館です。2フロア分の開架と、中階2フロア分の閉架があり、蔵書量もかなりですが、中でも農業書に特化したコーナーが目を引きました。また園芸県の高知県ならではの農業書が多数あり、高知県の〇〇農業といった地元の蔵書も多くみられました。私の地元の県立図書館には県関係の資料、報告書の蔵書は多数あるのですが、その中の農業関係のものは農業試験場報告など、ごく一部です。高知図書館の場合、あきらかに図書館側が収集した、あるいは県内の農業機関などが寄贈したような農業書が多く、テーマからも施設園芸、産地形成、輸送園芸、農協組織など、かなり専門的な内容で蔵書がされている印象を受けました。

 

 

〇全国から注視されていた高知の施設園芸

 

そうした地元の資料や書籍以外にも、全国的に出版や配布がされていたであろう蔵書も多く見られました。高知の施設園芸を研究し、西南暖地での生産と輸送園芸による首都圏でのシェア獲得の状況を分析した書籍(日本の農業-あすへの歩み- 45 遠隔園芸産地の形成、農政調査会(1965))なども見つかりました。この書籍の第二部は生産者や専門家、研究者の座談会形式になっていて、高知の施設園芸の実態を根掘り葉掘り聞き出している貴重な内容で、経営的なデータもかなり載っていました。それだけ施設園芸勃興期の高知の園芸は注目されていたということだと思います。

 

 

〇高知の施設園芸の未来は、IoP?

 

高知県は人口70万人台の小規模で、製造業も少なく、農業、とりわけ施設園芸のウエイトが高い県です。施設園芸の規模が同程度の都道府県は他にもいくつかありますが、そこに賭ける気合や予算は負けないものがあります。そうした発端はこの書籍から十分伺えました。本日付けの地元紙(高知新聞)には、IoTならぬIoP(Internet of Plants):植物をつなぐインターネット?の10年プロジェクトが発足したという記事も載っていました。IoPとは考えたものだと思いますが、高知県施設園芸50年史のような書物が編纂されるあかつきには、IoPと昭和40年代の施設園芸勃興期がひとつの流れの中で語られるはずです。

 

オーテピア高知図書館の貴重な蔵書