AIと農業(その3)施設園芸・植物工場展 2018 GPECのAI展示

「施設園芸 植物工場展 2018 GPEC」が先週、東京ビッグサイトで開催されました。週明けの業界紙には展示商品の特集が出始めています。AI特集記事には至っていませんが、会場では初めて見るAI関連の展示もいくつかありました。その中から2つ、ご紹介します。

 

1.大葉選別・調整ロボット

 

大葉(シソの葉)は、青果売り場では大きさや形が揃ったものを輪ゴムで止めパックされて売られています。シソ自体は様々な大きさの葉がついている植物で、収穫後の調整作業は産地の家庭の内職と言われています(産地に住むサラリーマンの方が、お母さんが毎晩やっていたと言っておりましたが、本当に大変な作業で、お勧めできないそうです)。1枚の大葉を選別して並べる場合の標準作業時間は5秒程度のようです。ロボットはAIを用いた画像処理と、吸引式のアームなどを用い、現時点では同程度の時間で並べているとのことです。

 

大きさを揃え、たばねられた商品の大葉

 

展示ブースでは、デスク脇に置くキャビネット程度の大きさのボックスがあり、大葉を置いた箇所で画像認識がされ、吸引アームでの選別作業のデモが行われていました。GPEC当日の日本農業新聞(7月11日付け総合営農面)にも詳しく記事が掲載されており、それによると2000枚以上の大葉の画像をAIに学習させて、ほぼ100%の精度で規格(S,M,L)や裏表、向き、キズなどの選別が可能とのことです。大葉の形状は周囲に細かな切れ込みがあり、複雑なものですが、おそらく収穫の際には奇形や変形のものは排除されていると思われます。その上での学習であれば、2000枚のオーダーで選別精度100%になったと想像できます。

 

別のマスコミ記事を見ると、開発者の大学教授は、選別時間の5秒を3秒にし、予定価格500万円で来春の発売をめざしているとのことです。大葉農家では1日に5~8万枚の選別をしているが、このロボットで1日に1万5千枚の選別を目標するそうで、これは毎時1200枚の処理能力として、15時間程度の稼働時間になります。またこれはパートさん1名が1枚5秒で選別し休みなく仕事をして21時間程度はかかる仕事量(3~4人分)です。

 

500万円が高いか、安いかは大葉農家の意見も聞いてみる必要がありますが、大葉産地にある大学と機械メーカーなどの共同開発品であり、そのあたりのマーケティングもきちんとやっていると思われます。しかし単純な導入コストだけの判断ではなく、人がいない、集まらないという前提で農業を継続することを考えざるを得ない時代ですので、こうした自動化・省力化は望まれる技術になるはずです。

 

 

2.キャベツ自動収穫ロボット

 

無人トラクターのアタッチメントとして、画像処理による機械収穫を行うもので、こちらも大学と農業機械メーカー等の大がかりな共同研究成果です(パネル展示とセミナー発表のみ)。こちらは不整地のキャベツ畑をトラクターが無人走行しながら、キャベツを見つけて株元をカットし収穫するという、難易度が高そうな作業の自動化です。

 

無人トラクターの研究は、乗用車等の自動走行のような道路交通法の制約や人命など安全面の制約が少ないため、ここ数年で一挙に進んでいる分野です。この研究は知的ビークルという分野で、畑で生育したキャベツ画像をディープラーニングにより位置情報や形状を認識させ、機械動作の微調整を行いながら自動走行と収穫作業を両立させる形のようです。畑とキャベツの3次元の位置や形状の情報は千差万別でしょうし、ディープラーニングの適用分野なのかもしれません。大葉と異なり、そうした畑でのリアルなサンプルを大量に学習させるには工夫が必要と思われます(パネル展示だけでは不明でした)。

 

 

他にも、いくつかAIに関係する展示が見られましたが、実用に近そうで、内容も比較的よくわかるものをご紹介いたしました。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:農業