猛暑と今後の高温対策

今年の7月から連続した猛暑には、植物も人間も疲弊したと思います。これからも同様な猛暑が通例化することを前提として、農業、施設園芸、植物工場に取り組む必要があるでしょう。猛暑による発生する問題は、立地条件、栽培方法、施設設備などの物理的な工夫により解決可能なものも多くあります。これらを整理して今後の対策とすべきでしょう。

 

1.立地条件による高温対策

 

立地条件を選べる場合には、標高の高い高冷地や、海岸沿いの地域を検討すべきです。最近は高冷地とでも日中の最高気温は平地とあまり変わらない場合も多いのですが、夜温は確実に下がり熱帯夜もないことが有利と言えます。また海岸沿いも水温が高く推移しなければ夜温が低くなる場合が多く、海からの風が吹き込む立地であれば日中の室温低下も期待できます。事前に地域の気象条件を公開情報や気象情報サービスなどから入手し、高温の程度を把握する必要があります。また実際にその地域を訪れ、地元の方から情報を入手することも大切です。

 

2.作型や栽培期間の調整による高温対策

 

高温のピークの期間を避け栽培を行うことが高温対策の基本と考えられます。8月のお盆過ぎ以降は暑さも柔ぐため、お盆前後に作物を定植し、それ以前に栽培終了と作物の撤去や清掃といった作替え作業を完了する必要があります。作替え作業自体は高温のピーク期に当たることも多いため、遮光や細霧冷房、通風など十分に行い作業環境を整える必要もあります。

 

作型を複数設け、高温ピーク期を避ける作型と、そうでない作型を組み合わせ、収穫の連続性を保つ考え方もあります。その場合、高温ピークを完全に避けられる作型を用意してリスクを低減し、収穫を確保する必要があるでしょう。

 

3.物理的な高温対策

 

環境制御技術の範疇となりますが、各種の高温対策のための資機材の利用があげられます。温室の構造面から言えば、通気性の良い構造が求められ、具体的には天窓や側窓の開口部が大きく、換気性能の高い温室が有利となります。大型の換気扇による強制換気を行う場合もあります。さらに細霧冷房装置などの気化冷却を行う場合もありますが、この場合も温室の換気性能を確保し、気化条件を保つ必要があります。

 

太陽光の直射を遮るための遮光装置の利用は一般的で、そのための遮光資材、遮光カーテン類の製品も毎年種類が増えています。値段は張りますが、温室の内張カーテンを二層とし、うち一層を遮光率が極端に高くない資材を使い、適度な遮光を行う形が見られます。また最近では、温室の外張資材(ガラス、フッ素樹脂フィルム、農POフィルムなど)に、遮光剤を塗布する方法が一般化しつつあります。遮光剤は石灰質を中心としたものの他、赤外光や遠赤外光を吸収して熱線を遮断するタイプのものもあり、光合成をなるべく妨げず、高温を抑制する資材として利用されています。毎年、塗布する必要がありますが、外部遮光を行うため、内張の遮光資材よりも暑熱効果が高いと言えます。

 

気化冷却では、植物からの蒸散を利用する方法もあります。一定量の葉面積が必要となりますが、換気や遮光カーテン、遮光剤と併用しながら、蒸散量を確保する(=潅水量を十分に確保すること)だけで、温度低下が期待できす。外気並みもしくは外気温マイナス数度の冷却効果が多くみられます。

 

4.人間に対する高温対策

 

以上のような様々な高温対策が考えられますが、選択枝に場合とならない場合、費用対効果が期待できる場合とできない場合など、事前に検討する必要があります。なお植物だけでなく温室内で作業を行う人間に対する高温対策も労働安全上、大変重要であり、細やかな管理と具体的な対策が必要です。管理面では、健康状態の観察が前提にあり、就業時間のシフト(早出、遅出)による高温回避、頻繁な休憩、水分や塩分補給の確保等が考えられます。具体的な対策として、換気や遮光、通風や気化冷却による温室温度の低下、ファン付き作業着の利用、作業者に密着した扇風機やスポットクーラーの利用、などがあげられます。また温度や温熱環境(WBGT等)等のモニタリングとアラームの仕組みも、事故の発生予防には有効となるでしょう。


ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください。

 

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