研修「環境制御に必要なコンサルタント」を行いました

先日、千葉大学柏の葉キャンパスにあるNPO植物工場研究会にて、植物工場に関する指導者育成研修の講師を行いました。2日間の研修コースでは環境制御技術について5名の講師が講義を行いました。私は「環境制御に必要なコンサルタント」というテーマをいただき、大規模施設園芸などで必要とされるコンサルの概要を報告しました。

 

1.大規模施設園芸とコンサルティング

 

大規模施設園芸や植物工場の導入と立上げ、その後の生産向上の各フェーズでは、様々な検討事項があって、すべてを網羅することは一人では難しく、専門家のアドバイスを必要とするのが実態です。しかし国内では大規模化の歴史も浅く、導入時の設計を支援するようなコンサル会社も従来はありませんでした。また立上げ後の栽培指導についても、普及指導員にはそもそも大規模施設園芸の経験や知見がある方もほとんどいない状況です。

 

ではどうしたらよいかですが、一つは小さく生んで大きく育てること、つまり中小規模での施設立上げと生産販売を経験した後に、スケールアップを図ることがあります。規模によらず共通することも多いため、中小規模での経験が大規模においても役立つことが多くあります。一方で大規模特有の問題も多く、特に大勢のパート雇用を必要とするため、それらの人材確保と能力やモチベーションの向上が、農場の生産性や販売力に大きく影響します。

 

栽培技術の中でも中核となるのは、植物生理にもとづく栽培管理技術、すなわち光合成と日射、水、CO2の吸収と同化産物の転流や果実肥大を促進する技術、それを補助するための環境制御技術、すなわち植物や気象の状況に合わせ温湿度やCO2濃度を最適に保つ技術、この2つがあります。これらの点については施設の大小にかかわらず共通な点が多いのですが、実際は大規模特有の設備や制御機器も多く、それらの操作や利用の考えについても専門家の助言が必要とされます。

 

与えられたテーマは環境制御とコンサルについてでしたが、実際は大規模特有の人やモノについての管理技術や、市場に頼らない販売計画の策定、加えて植物生理にもとづく栽培技術と環境制御技術など、多くの要素が大規模施設園芸の成功には必要という内容になりました。

 

2.日本で必要とされるコンサルティング

 

受講者の方からの質問に、オランダではコンサルティングも専門性に応じた分化があるが、日本ではどのような形が必要とされるのか、といったことがありました。確かにオランダでは経営、栽培技術や環境制御技術、IPM、エネルギー管理などの専門に分かれたコンサルティングが盛んです。また施設園芸経営への融資を行う金融機関でも様々な技術データや経営データを評価するような具体的な審査が行われています。コンサルティングの市場自体も大きく、専門のコンサル会社(Delphy)ではオランダで200名もの社員で業務を行っています。

 

一方、日本ではここまでのコンサル市場は無く、また金融機関と施設園芸のつながりも強いものはなく、さらに専門分化したコンサルタントも存在していないと思います。むしろ経営から栽培技術、環境制御技術など広くカバーする必要があるように思われます。大規模施設園芸の事業者といっても売上規模からすると数億円程度が多く、中小企業であり、社内のスタッフが専門化しているものでもなく、コンサルタントにさまざまな指導を依頼するケースが多くなるはずです。また、日本特有の雇用環境としてパート雇用を中心とした多人数によるシフト体制があり、おのずと労務管理のウエイトが高くなります。労務管理と栽培管理のバランスが取れないと、収穫できるものもできなくなってしまう問題点があり、コンサルの対象も労務管理まで広がる可能性もあります。

 

以上のように、環境制御のコンサルについてというテーマではカバーしきれない課題が大規模施設園芸の現場には存在しており、特に立上げ期において施設の導入計画を含めた幅広いコンサルティングが有効な場面が多くなると考えられます。このことについては、改めて書きたいと思います。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください。

 

 

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