進化する大規模施設園芸経営の条件:ラインとスタッフ

法人経営で数ヘクタール規模の施設園芸経営が増加しています。スケールメリットを得つつ、大ロットで品質の安定性した青果物を良い値で販売することで、比較的高い収益が立つ見込みがあるためと思います。しかし立ち上げには時間がかかり経験不足や天候不順での失敗もあり、世間で良く言われる「立ち上げ時の植物工場の半数は赤字」のような事態になりかねません。

 

大規模施設園芸経営での現場作業を行う職員の多くはパート従業員であり、数十名から百名以上に及ぶこともあります。その人たちを指導し管理する社員は数名から10名程度が多く、正社員数から言えば企業としては零細規模かもしれません。社員の業務分担は大きくは栽培、出荷、営業、総務などがありますが、経営規模により兼務されることも多いと思います。

 

収益向上のためマーケットインの経営を志向する大規模施設園芸経営体が増加していますが、業務の流れがマーケットインに対応しているかといえば、生産主導であるケースが依然として多いと思います。それは、作って市場に出すという長年の農業のスタイルが背景にあるかもしれませんが、客先需要に直結した生産体系を構築した経営体は、まだまだ少ないと思います。

 

生産計画や作業計画を立て、目標に向かって日々の業務を回すのは現場のラインであり、ラインのマネージャーです。それに対して、経営計画を立て、客先や世間の需要動向を睨みながら目標を定めるのは、経営や営業部門であり、前記のラインに対してスタッフ機能にあたると思います。ラインとスタッフが職制上は明確化はしていない場合が多いと思いますが、マーケットインに対応した経営を進める上で、分化した組織であることか望まれるでしょう。生産主体、もしくはパート従業員のシフト主体での生産計画と、マーケットインでの生産計画では、生産量や品質、日々の出荷量などに自ずと差が出てくると思います。経営の立場から生産を見つめ直しし、収益に結びつけられるスタッフ機能を、これからは重視すべきと考えます。

 

 

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きゅうり施設園芸農家の未来

先日、きゅうり農家の方を数軒、訪問させていたただきました。きゅうりはトマトに次ぐ施設園芸の主要品目ですが、トマトのような新規参入や大規模経営も少なく、高齢化などによる衰退が目立つ品目です。しかし需要は底固く、業務用途でも漬物用からサラダやカット野菜用への推移があり、カッパ巻きや恵方巻などの巻物用などのは欠かせない野菜であり、販売単価も比較的安定していると思います。

 

篤農家のきゅうり施設栽培

 

きゅうり農家の方のお話からは、悲観的なことは聞かれませんでした。台風などの強風に強いハウスを持たれ、自動化や省力化のための設備も備えられた農家の方で、経営の基盤はしっかりとされていました。収量が上がればトマト以上に忙しい品目ですが、価格の下支えもあって豊作貧乏にはなりにくいと思います。そのためか、経営的な見通しを明るく持たれている雰囲気を感じました。

栽培的には病虫害との戦いや、新品種の導入が常にあって、安定的な生産が誰でもできる、という品目ではないと思います。また環境制御による生育や収穫への影響がダイレクトなため、差がつきやすい品目かもしれません。また、技術的な課題をクリアできる農家であれば、チャレンジのしがいがある品目と言えるかもしれません。

 

一方でヘクタール規模の施設きゅうり栽培例は国内にはほとんどみられません。これはトマトとの大きな違いです。これについて論じられたこともあまりないと思いますが、やはり収穫が待ったない品目のため、作業遅れに対するバッファのなさが規模拡大にストップをかけているのかもしれません。こうしたことに対し、ヨーロッパ系の200g以上の果実がつく品種を使い、収穫作業バッファを作るような提案もお聞きします。しかし収穫〜選果〜出荷〜業務利用の流れができあがったきゅうりの流通に、こうした規格の変更を受け入れる余地があるかどうかはわかりません。

 

きゅうりの規格、品種、流通に変化が起これば、栽培や経営の形態にも大きな変化が起きるかもしれません。現在のきゅうり産地の維持が難しくなり、韓国産などの輸入品での代替も進まなくなった場合には、そうした変化が起きる可能性も考えられるかと思います。新たなきゅうり栽培を担える農家がいずれは育ってくることを願っています。

 

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施設園芸のフォーラムを開催しました

先週は、九州のある県で300名規模の参加者でフォーラムを開催いたしました。地元の皆様、ご登壇の皆様の多大なご協力で開催できたこと、まずは感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

 

このフォーラムの開催に関わって4年目になり、毎年全国のどこかで行ってきました。一環したテーマに大規模施設園芸の立ち上げや運営があり、国内ではまだ事例やケーススタディーが少ないこの分野についての唯一のイベントであると思います。やはり回を重ねるごとに、現場で管理を行う方々の工夫や改善のお話が充実してきています。立ち上げから数年立つと振り返りの機会にもなっていて、失敗談も含めて運営態勢の変遷を伺うことができるようになってまいりました。

パプリカのアレンジメント

 

ここでも何度かご紹介したような人手不足の問題は、大規模施設園芸経営に大きな影響が出ているのは事実かと思います。限られた人数で、基本は明るいうちの仕事で時間内に終わらせることが求められ、一方で作業量の季節格差が大きい業務をどのように回して行くものか、なかなか明確な解はないと思います。何年も他で先行して大規模経営を行ってきたところは人の扱いや教育についてのノウハウがあり、それを受け継いでいくような仕組みも持たれていました。一方で何もないところから立ち上げたところもあって、失敗を繰り返さずに一作ごと、一年ごとに能力を上げたり、組織の効率を上げたりの取り組みがみられました。

 

施設園芸や植物工場関係のセミナーでは、一般的に最新の技術紹介や研究報告が多く見られますが、このフォーラムは人に焦点を当てたものになっていると思います。技術は日進月歩ではありますが、人の成長なくしては大規模経営の成長もなし得ないため、このようなフォーラムでの報告はまだまだ必要で意義があるのではと考えています。

 

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外国人技能実習生から外国人労働者へ

外国人労働者の受入れ拡大のための来年4月の導入を目指す政策骨子が全般示されました。

 

日本農業新聞によると、新たな在留資格として「特定技能」が設けれられ、対象業種は農業の他、介護、建設など十数分野になるとのことです。

 

従来の技能実習生制度では最長5年間の在留が認められていましたが、さらに特定技能1号の資格を取得すれば、それに5年間上乗せした在留が認められる制度です。特定技能1号資格では「相当程度の知識または経験」が求められるとのことで、家族の帯同は原則認められません。

 

さらに試験により「熟練した技能」が認められれば特定技能2号資格が得られ、永住や家族帯同も認められます。これは実質的に外国人労働者を移民として受け入れる制度と言ってよいのではないでしょうか。

 

制度的には、法務省で入国管理局を改組して「出入国在留管理庁」を設け、また外国人の受入れ環境を整備するための「登録支援機関」も設けることになるとのことです。

 

資格を満たす外国人が現れるまでが数年先になりますが、それまでに受入れ側が外国人を地域にとけこませるよう、住宅や地域との交流などを計画的に整備することも求められると思います。特に家族帯同を認める際には地域の協力が欠かせないはずで、教育や宗教、食料などへの配慮も必要となるでしょう。

 

小さなニュースなのですが、政府が舵を切った以上、農業や施設園芸の業界も実際に状況が動き出す前に注視すべきことと思います。また人手不足の解消には一定の効果が期待される動きですが、将来的に継続して外国人労働力が確保される保証があるとは限りません。農業・施設園芸の省力化や自動化への研究開発を進める技術者は、こうした動きをにらみながらも、自信を持って技術を高めていただきたいものです。

 

11/5追記:臨時国会での在留資格に関する法案審議が延期になりました。拙速、制度設計が不十分という批判が与野党から厳しく出たため、政府も審議が持たないと判断したようです。外国人労働力導入については、産業の現場の人手不足解消だけの問題では無いということが明白になったと思われます。

 

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施設園芸・植物工場経営とキャリアパス

ある大規模施設園芸の経営者の方との話しで、キャリアパスの話題が出ました。農業全般に言えることかもしれませんが、農業法人などに就職して経験を積んだとしても、同じ法人の中でキャリアアップしていくためには、農場の数を増やして、新たな農場の責任者などに登用されるのが一般的である、ということでした。すなわち、同じ規模で農業法人などが経営を続けていく限りは、昇進の機会も少なく、生産の現場にいる限りは業務内容も大きくは変わらないのでは、ということになると思います。

 

もちろん法人内での世代交代で、責任ある立場に上がるケースもあると思います。また大規模経営であれば、栽培、人事労務、営業、さらに環境制御やIPMなどに業務分担がされ、ジョブローテーション的なことも可能な場合もあるかと思います。しかし施設園芸経営の中で、そうしたケースはごく一部であり、多くのケースでは現場の業務はまんべんなくこなし、営業も含めた対外的な業務は、経営者が行うことが多いかと思います。

 

最近は新規就農としてではなく、農業法人に就職し、経験を積んで独立するケースが見られます。これは農家の師弟であっても、まずは就業してから経験を積んで家に戻る、または親とは別の経営を始めるというケースが見られます。しかし農業とは無縁の若者が農業法人に入り、そこで長期間のキャリアを形成するには、農業法人自体が成長し、業務規模も大きくなっていく必要があると思います。

施設園芸経営での経営拡大の一般的なパターンとして、同種作物での第2農場の建設があります。これは栽培技術と販路の面ではリスクも小さく、法人内での社員の人材育成がうまくいっていれば可能なことと思います。また品目を変えての第2農場建設のパターンも見られますが、技術修得に時間が必要な場合が多いと思われます。

 

このような経営拡大によって、社員が新たな農場の責任者などに配属され、スキルアップしていくのが一つの理想であると思われますが、経営者がそのような考えを長期的に持ち、社内の人材育成にも努める必要があるため、経営者の手腕が問われるところです。やはり日本の施設園芸の未来は、社員やパート従業員などとともに歩んでいける経営者にかかっているのかもしれません。

 

 

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施設園芸のBCP

BCPとは事業継続計画のことで、緊急事態の発生などに対しての対策をあらかじめ準備、実行して事業を継続させるような一連の取り組みを指します。


施設園芸の関係者から、この言葉を聞いたことはほとんどありません。今年の大型台風の頻繁な襲来に対して施設園芸経営者はどのような対策を立てて、どのように実行したか、検証する必要があると思います。


今年は強い台風や地震に対して農業施設や作物が直接被害を受けたケースと、停電や断水などにより作物が二次的被害を受けたケースが見られました。前者でのBCPとしては軽微な被害に対しては補修品の在庫と自家施工体制の確保、近隣生産者との連携、大きな被害に対しては工事業者や資材業者との日常的な連絡体制構築、共済や民間保険へ加入による補償の確保などが、とりあえず考えられます。


また後者でのBCPとしては停電や渇水に対するバックアップ対策があり、非常電源の確保と定期的な動作確認や接続確認、灌水タンクの準備や非常時の手動灌水の渇水などが考えられます。


とりあえずで考えて見たものですので、実際は多くのことを網羅して実施手順や在庫などを整備する必要があると思います。また、どこまで計画に織り込むのかが鍵となりますが、事業への影響の程度と対策費用などを勘案する必要があると思います。災害は忘れた頃にやってくるの時代から、災害は常にそこにある時代に、残念ながら変わってしまったと思います。BCPの策定は施設園芸経営には必要不可欠になったと言えるでしょう。

施設園芸のフォーラム、開催します

来週、九州のある県で数百名規模のフォーラムを開催します。県外からも大勢の参加が見込めるのですが、地元の関係者の皆さんのご協力で何とか開催にこぎ着けたのが、正直のところです。世の中のIT化やロボット化がどんなに進んでも、イベントを組み立て、講師や見学を依頼し、集客やPRも行い、当日の会場や資料のセッティングをやって望むという一連の工程は、なかなか省力化、省人化ができそうもありません。人と人とを結びつけ、人を集めるという行為には、やはり人にしかできない要素が確実にあるのでは、と思います。

 

というのも、世の中にあふれるAIの情報に触れるにつけ、人間にしか出来ないことは何か、自分にしか出来ないことってなんだろうか、と自問することがたびたびあります。人と人ととの簡単なやり取りの多くは機械化がすでに進んで来ています。電話オペレーターなどは番号の選択や入力だけで終わってしまうこともあります。機械化できることはどんどんと進め、残った領域でいかに価値を作るか、どの産業でも、またどの個人でも大切になって来ていると思います。

 

フォーラムのことに戻りますが、こうしたイベントは終わってしまうと、お疲れさまでしたで終わってしまうことも多いと思います。投入した労力や経費に対して、得られたもの、残ったものは、なかなか目に見える形では無いかと思います。今ままで、何十というイベントの開催に関わって来たのですが、それでも今でもイベントをやるのはなぜなんだろうか、と自問自答してみました。イベントに来られる人は何を求めてやってくるのかも考えて見ました。

 

講演や展示を通じで、生な人とのやり取り、瞬間的な出会い、ネットやメディアからは感じられない微妙な雰囲気、新しい出会い、イベントには不確定で、その場かぎりの要素が溢れていると思います。それは人それぞれでしょうが、イベントが終わっても、そこでの出会いやふれあいが記憶に残るもので、明日からの活動に何かしらの影響があって、イベントへの参加は続いていくと思います。記憶に残るイベントを開催できるよう、来週は九州でやってみます

 

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開かれたものづくり研究会・医療編に参加しました

東京大学ものづくり経営研究センターのセンター長である、藤本隆宏先生が理事長を務める(一社)ものづくり改善ネットワークが、サービス産業、医療、農業分野を含めた勉強会を開催しています。今回は医療分野の発表があり、参加してまいりました。

 

医療現場での改善活動は、私も会員であります日本品質管理学会の学会誌などでもたびたび特集で取り上げられており、医療過誤の問題や病院経営の効率化など、医療関係者の取り組みがなされていることは存じ上げていました。今回は、保健師でMBAホルダー、現在は東京大学で藤本先生に師事されている女性の報告で、「医療現場の改善事例」がテーマでした。

 

いくつかの報告の中で面白かったのは、糖尿業治療の現場で、医師、看護師、管理栄養士、診療アシスタントについて、おのおのが患者を含め他者に委譲できる業務について考え洗い出し、実際に委譲を行ったことです。例えば医師が行っていた患者の観察や療養指導について、看護師や管理栄養士が一部を代行したり、看護師が行っていた血圧や体重測定を患者自身が行うように改善がされていました。このことで、おのおのの本来の業務に集中ができ、同じ時間を患者にかけていても濃密な内容に変わってきたこと、また患者側から見ると管理栄養士、看護師、医師とのコミュニケーションが続き、待ち時間が短縮される一方で、実質的な医療行為の時間が伸びたことがあります。

 

データとして、改善の前後で患者に対する付加価値作業時間が全体の4.2%から13.9%に増大したとのことで、患者が受けた医療サービス(診察、指導、教育など)の内容も豊富になっています。

 

業務内容の見直しと担当の組み換えで、このような効果が得られたことは、おそらく農業を含めた産業にも応用が効くことではないかと思います。医療の現場は医師を頂点としたヒエラルキーと各部門ごとの組織があって、改善には事前の説明や根回しが重要とのことでしたが、農業でも同様なことは想像にかたくありません。本当に自分がやらなけれなならないこと(付加価値の高いこと)は何かを突き詰めて、それ以外のことは他の担当者に委譲する、またはIT化や機械化ができるところはそれを進める、という発想が必要になると考えられます。

 

勉強会の最後に藤本先生が「良い流れ」、「良い設計」、「設計情報の転写」について改めて説明をされましたが、こうした改善は患者にとっての良い流れとなり、待ち時間も短縮されつつ、医療サービスの連携を実感できるものになると思います。農業や施設園芸の現場での「良い流れ」とは何か、まだぼんやりとしたイメージしかありませんが、これから考えていきたいと思います。

 

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展示会「次世代農業EXPO」を見てまいりました(その2)

あるブースの奥まったところに、スカイブルーの鮮やかなボディーの高所作業台車が置かれていました。ちょっと目立たない展示でしたが、この分野は外国数社と国内数社しか参入がなく、あまり動きがないものと思っていましたので、興味を持ちました。

 

担当の方によると、建設分野の作業機器を扱っており、その分野では同様な高所作業車など、大量の受注残を抱えているそうです。数年先まで建設需要が高いことが背景にあるようです。しかしそれに頼らず、農業分野への参入を進めており、建機分野での技術やノウハウを活かした製品開発を行われているとのこと。

 

担当の方とのお話では、建設機械では当たり前の自動停止装置や安全装置についての理解が、施設園芸の現場では進んでいないため、安全機能が現場作業を止めることについての拒否感が多く苦慮されていることが伺えました。例えば作業車が数度傾斜した場合には自動停止する機能があって、そのたびにリセットする必要があることに苦情がきたり、移動中の動作音(電子音による警告)にも拒否感が高いとのこと。

 

この分野は製品の競争もあまりなく、製品価格の割高感を感じられている方も多いようです。その一方で、重量物であるため、他の作業者や設備などとの接触や事故も、軽微なものは現場ではそれなりに発生している話はよく耳にします。死亡事故については聞いたことはありませんが、自動停止機能が搭載されていない機種の場合、重大事故の可能性は否めないと思います。

 

おそらく現場導入には様々なご苦労が伴うかと思いますが、こうした新規参入は施設園芸業界から歓迎すべきことと思います。出展会社では電源装置の製造販売も行っており、先日の台風による停電被害に対し引き合いも増えているとのことでした。事故防止の他に、施設園芸での非常時のBCP(事業継続計画)があまり考えられていなかったことも、担当の方とのお話のついでで意見交換をさせていただきました。

 

 

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展示会「次世代農業EXPO」を見てまいりました (その1)

農業資材、施設園芸、植物工場関連の展示会が幕張メッセで今週開催され、2日間ほど見てまいりました。

展示会のジャンル的には、施設園芸・植物工場展(GPEC)に近いと思いますが、GPECが2年に一度の業界イベント的な展示会であるのに対し、こちらは毎年開催されており新しいジャンルや開発途上のものなど、何があるか分からない面白さがあります。

 

今年は、流行りのドローンとハウス環境の見える化ツールやサービスが多数あり、AIをうたう展示も散見されました。ハウス関係のベーシックな資材展示は少なく、メカ的なもの、ICT利用、各種のメディアやサービスなど、ビジネスのそのものの動向が変わって来ている印象を受けました。

ブースでじっくりとお話を聞いたところをご紹介したいと思います。

 

【CHINO、三基計装ブース】

 

CHINOは計装機器の大手さんですが、三基計装さんは施設園芸の環境制御機器専業メーカで、現在はCHINOの傘下にあります。昭和から続いている専業メーカーで、スーパーMINIなどの複合環境制御装置が主力商品です。製品そのものは30年選手であり、最近の「統合環境制御装置」に比べると機能やI/Oの点数は劣るものの、価格の安さと一通りの基本機能の装備が特徴と思います。また、「枯れた製品」でもあり、安心感があります。私の栽培の先生である、元埼玉県園芸試験場の稲山光男先生が監修をされたと聞いていますが、昭和のハウス栽培で必要な機能に絞った感があります。

 

今回は昭和の製品だけを展示したのではなく、施設園芸のICTサービスで頭角を表しているセラクさんの「みどりクラウド」との接続がされていました。「みどりクラウド」は、農業専業メーカーではないICT企業が開発した、非常に見やすく使いやすい画面構成(UXというのでしょうか?)が特徴で、ハウス環境を多面的にモニターできるサービスです。また東証1部上場企業ならではの懐の深さなのか、サービス価格も安価です。昭和の製品と平成の終わりのICTサービスが接続され、何とみどりクラウドからスマホ画面などで三基計装さんの複合環境制御装置(ふくごう君、スーパーMINI)がクラウド経由で操作が可能となっていました。

 

これは既存の三基ユーザーにとっては単なる環境制御装置がクラウド化されたという画期的な進化になると思います。また、みどりクラウドユーザーには、高機能では無いものの、手軽な価格で環境制御も出来るというメリットもあり、一石二鳥、WIN=WINの成果と言えるでしょう。まだリリースして間もないため、実績はこれからと思いますが、私の直感で「これは売れる!」と思いました。低価格と難しさが無い環境制御、それにクラウドサービスの組み合わせに、直感を刺激されました。

 

説明をしていただいたAさんとは何十年のお付き合いなのですが、Aさんによると、この開発プロジェクトで両社の間を橋渡しされたのが、当時B県の試験場におられたC先生だったとのこと。C先生は私の大学後輩にあたる研究者で、栽培と環境制御、それに経営と守備範囲の広い方で、なるほど、と思いました。普通の研究者には、こうした橋渡しはなかなかできないことです。C先生は、その後、B県を退職され、新天地にチャレンジ中です。応援したいと思います。

 

(展示会報告は続きます)

 

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