技術士試験のラストスパート

○技術士とは?

 

名前は聞いたことがあるかも知れませんが、国家資格の割には知名度が低く、何をやってるのかも良くわからない、と思われているだろう、技術士という資格があります。技術者、つまりエンジニアに対する資格制度なのですが、実際は農業や水産、機械や化学、建設や上下水道、情報工学、原子力まで20の分野を網羅しています。しかし、それらの各専門分野にも国家資格や民間資格もあり、どこが違うの?と言われても一般にはわかりずらいのでは、と思います。

 

 

○技術士試験は大変

 

技術士は国家資格なので、技術士法という法律で定義や義務、責務がしっかり定められており、平たく言うと「科学技術と国民生活の向上に資する専門分野の知識と応用の能力をを持ち、公益のことを考えて秘密保持も守り、常に研鑽を怠らないエンジニア」と言うところです。公益という当たりが、昨今のメーカー不祥事に対するポジションになるのかもしれませんが、サラリーマンであれば限界もあると思います。

 

建設土木分野などでは技術士を置くことが業務上で必要なことも多く、技術士全体(7〜8万人らしい)の約半数がこの分野の方です。資格取得へのインセンティブもあるため受験者数でも過半数をしめています。

 

全体での受験者数は毎年数万人もいて、合格率はならすと10%台の前半で推移をしていましたが、今年度は筆記試験で難問が多くて、この後の口頭試験からの最終合格率は10%を切ることが確実視されています。難関資格、難関試験になっていると思います。合格率もさることながら、受験申込書での業務経歴と小論文、丸1日かけて合計4000文字近くをへとへとになり書き込まなければならない筆記試験、最後の関門の口頭試験と、各段階でのふるい落としもあり、しかも準備期間を含めると1年単位の長丁場、5〜6回挑戦する技術者もざら、というかなり大変な試験です。

 

 

○技術士取得のモチベーション

 

建設土木分野の技術者なら資格取得メリットも見えるものがありますが、なかなかメリットが見えづらい分野からも毎年、受験者が多数、挑戦されています。「名称独占」というわかりにくい制度があって、技術士資格取得者以外は、技術士を名乗ってはいけないことになっています。まあわざわざ、偽物技術士を名乗る人もいないと思いますが、他の資格名称で○○技術士というものがあると、元締めの日本技術士会から警告が発せられて、名称を変えさせられた例もあるようです。

 

名称独占だけではメリットにはならない、弁護士、弁理士、税理士‥のように業務独占資格にしてくれ!という声も根強くあって、技術士の集まりの日本技術士会の役員選挙では、業務独占資格化を公約?に掲げた立候補者も見られますが、いまだに実現はしていません。

 

あまり魅力のなさそうな資格に見えますが、それでもめげずに何度も挑戦する技術者は多く、小さいですが受験業界も存在するほどです。

 

マイナー国家資格と言っても良い技術士の試験受験者の皆さんの動機やモチベーションは何だろうか、常に気にはなっていたのですが、その前に自分の動機について、お答えしなければなりません。自分の場合は同じ業界の大先輩に著名な技術士の先生(板木利隆先生、池田英男先生)がおりました。お二人とも施設園芸分野では誰もが知っている研究者、指導者で、学位(農学博士)もお持ちです。当時、メーカーの開発部門にいた自分には学位(農学修士)はあったものの、資格は運転免許と英検しかなく、お二人のご活躍を見て、技術士の資格をとれば自分も二人と同じように活躍できるのでは?、と錯覚したのが、今振り返っての受験動機でした。

 

受験者としては遅い年齢(40台後半)でしたので、申込書や小論文に書くネタはそこそこありました。インターネットの世界もまだまだで、当時は郵送での添削受験指導などを受け、出勤前にコツコツと論文の練習などをし、口頭試験前には技術士グループの模擬面接などを受けて、何とか一発で農業部門に合格はしました。しかし社会人になってあまりしていなかった勉強を長期間、しかも睡眠も削って続けたことが鬱を招いてしまい、半年ほど苦しみました。身を削る資格試験になったのは苦い思い出です。

 

 

○これからが最後の関門

あまり良い思い出のない技術士試験ですが、必要な業務経歴と経験を積ませてもらった当時の職場や同僚には今も感謝しています。先週から始まった口頭試験ですが、難関化した筆記試験をくぐり抜けた優秀な皆さんがチャレンジしています。私も昨年、経営工学部門受験にチャレンジし、ちょうど今頃に口頭試験を受験しました。来年度は試験制度の改正がありよめないことも多いので、ぜひ皆さん頑張って最後の関門には、挑んでいただきたいのです。

 

 

〇技術士になって良かったこと(3点)

最後に書くのも何なんですが、実はたくさんあって、エンジニアの皆様は是非受験されることをお勧めします。3つだけ書きます。

 

・技術試験は他流試合で、自分の客観的評価、しかも国家試験による評価で、自信につながる。

 

・20部門の他部門との技術士との交流の機会が生まれる。その中でも活躍している技術士との貴重な交流が得られる。

 

・特に総合技術監理部門では、技術と経営の視点で業務や業界を俯瞰する訓練になる。技術や業界の将来を見通す力をつけることになる。

 

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業

昭和の施設園芸用ハウス

まもなく平成も終わろうとしていますが、昭和に建てられた貴重な現役ハウスを見かけましたので、ご紹介します。

 

 

○屋根型単棟ハウス

 

このハウスは昭和40年代の建設と思われます。間口が20メーター程度と長大なのに対し、天窓の小ささが際立っている構造です。屋根面積に対する開口面積はおそらく5%程度で、もちろん無いよりはマシですが、換気はあまり期待出来そうもありません。大型ハウスを単棟、それも屋根型で作るとこのようになるという、貴重な?例です。

 

昭和の屋根型単棟ハウス

 

 

○丸屋根型単棟ハウス

大間口のハウスをアーチ型の丸屋根型で設計してこうなったと思いますが、やはり当時と現在の夏の暑さの違いやハウスの用途の違い(当時は保温や暖房が中心、現在は周年利用)が感じられます。突き上げ式の小さな天窓から、換気性能はおよそ想像できます。重油暖房機が装備されているので、大雪の際にはカーテンを開けて暖房を炊くことで融雪と滑雪は可能と思いますので、数年前の豪雪でも生き残ったと思われます。

 

昭和の丸屋根型単棟ハウス

 

先般、平成28年の農水省調査による園芸施設面積が公表されました。前回の調査結果と比べてほぼ同様な結果で、こここ10年以上続いた低下傾向が下げ止まった感があります。この2つの昭和のハウスも、いつまで使われるかわかりませんが、施設園芸の歴史を感じるもので、見守ってあげたいと思います。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業

 

高知県の次世代施設園芸と、生産管理・労務管理

〇生産管理と労務管理の研修

 

高知県の施設園芸関係者の協議会からの依頼があり、2時間の研修講師をしてきました。施設園芸生産者、農業法人、高知県、JAの関係者で70名ほどで盛況でした。たぶん自分の講師歴の中で、一番真剣に聞いていただいたのではないか、という雰囲気でした。内容は「生産管理と労務管理」という地味で面白みの無い(と思われる)分野でしたが、人手不足、人材不足の影響を強く受けている施設園芸では、ホットな分野になりつつあるようです。ここでは、他県でのTQM手法によるトップダウンからの生産管理体制の改善例を中心に紹介しました。ちょっと例が強烈だったようで、自分らには出来ないみたいな反応が出てきましたが、まあ関心を持ってもらえればOKと思っていました。

 

 

〇カイゼンコンサルタントの導入

 

私のあとの講師の方は高知県の専門技術員さんの女性でしたが、直球の内容で、カイゼンコンサルタントによる県内でのカイゼン事例を話されていました。製造業系の品質管理のコンサルタントの施設園芸導入事例は今まで全国でも数件聞いてはいましたが、今日のお話は初年度トライアルで6件、まだまだ引き合いがあるそうです。トライアルの事例は、作業場のレイアウトや導線、工具類の置場などについてで、基本的なものでしたが、実習の例が面白く、レゴブロックで自動車を組み立ててもらい、一人で全部組み立ててみた場合と、数名で分業で組み立てた場合の時間の比較を行わせ(数倍の差)、さらに工夫して早める実習でした。そんなところから参加者(農家や関係機関)の興味を持たせるやり方のようです。

 

 

〇高知県の次世代の施設園芸

 

高知県は施設園芸を主要産業として振興しており、次世代型こうち新施設園芸システムなど技術開発、普及、現地実証、研修、施設整備など手広く取り組んでいる県です。さらに今回行ってみてわかったことですが、空港周辺で600ha規模の大規模場な国営ほ場整備事業が計画され地権者交渉も進んできており、今後、大規模な施設園芸の集積地となる可能性もあるようです。そのことで高知県に北海道や九州に次ぐ日本の食料基地が形成される可能性があるのかもしれません。その他、IoTならぬIoP(Internet of Plants)の大プロジェクトが産学官で立ち上げられ、次世代の施設園芸にふさわしい農業クラスターの形成も夢ではないようです。高知県知事を筆頭に施設園芸の坂本龍馬や岩崎弥太郎を生んだ地域の歴史と勢いを感じた次第です。

 

参加者数約70名の研修会

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業


 

高知図書館の農業書と施設園芸史

〇農業書の蔵書が豊富な高知図書館

 

高知城や高知県庁の近く、高知市大手町に今年夏に新築オープンしたオーテピア高知図書館があります。地元産(たぶん)のスギを内装にふんだんに使って、樹の香りのする落ちついた図書館です。2フロア分の開架と、中階2フロア分の閉架があり、蔵書量もかなりですが、中でも農業書に特化したコーナーが目を引きました。また園芸県の高知県ならではの農業書が多数あり、高知県の〇〇農業といった地元の蔵書も多くみられました。私の地元の県立図書館には県関係の資料、報告書の蔵書は多数あるのですが、その中の農業関係のものは農業試験場報告など、ごく一部です。高知図書館の場合、あきらかに図書館側が収集した、あるいは県内の農業機関などが寄贈したような農業書が多く、テーマからも施設園芸、産地形成、輸送園芸、農協組織など、かなり専門的な内容で蔵書がされている印象を受けました。

 

 

〇全国から注視されていた高知の施設園芸

 

そうした地元の資料や書籍以外にも、全国的に出版や配布がされていたであろう蔵書も多く見られました。高知の施設園芸を研究し、西南暖地での生産と輸送園芸による首都圏でのシェア獲得の状況を分析した書籍(日本の農業-あすへの歩み- 45 遠隔園芸産地の形成、農政調査会(1965))なども見つかりました。この書籍の第二部は生産者や専門家、研究者の座談会形式になっていて、高知の施設園芸の実態を根掘り葉掘り聞き出している貴重な内容で、経営的なデータもかなり載っていました。それだけ施設園芸勃興期の高知の園芸は注目されていたということだと思います。

 

 

〇高知の施設園芸の未来は、IoP?

 

高知県は人口70万人台の小規模で、製造業も少なく、農業、とりわけ施設園芸のウエイトが高い県です。施設園芸の規模が同程度の都道府県は他にもいくつかありますが、そこに賭ける気合や予算は負けないものがあります。そうした発端はこの書籍から十分伺えました。本日付けの地元紙(高知新聞)には、IoTならぬIoP(Internet of Plants):植物をつなぐインターネット?の10年プロジェクトが発足したという記事も載っていました。IoPとは考えたものだと思いますが、高知県施設園芸50年史のような書物が編纂されるあかつきには、IoPと昭和40年代の施設園芸勃興期がひとつの流れの中で語られるはずです。

 

オーテピア高知図書館の貴重な蔵書

愛媛大学植物工場研究センターの研修に参加しました

○愛媛大学の指導者育成研修

愛媛大学植物工場研究センターなどの全国5箇所の植物工場実証拠点で行われている研修に、ときどき参加をしています。今年度は指導者育成研修ということで、教える側の人材を育成する目的の、よりレベルの高い研修が行われています。愛媛大学では環境制御、植物生理、機械化省力化が専門の先生方が多く、その方面の研修がメインですが、外部講師を招き、ICT、AI、それに大規模施設経営に関する研修も行われています。

○大規模葉菜養液栽培の経営

この日は、北海道サラダパプリカ(北海道釧路市)の小林さんと、ひむか野菜光房(宮崎県門川町)の嶋本さんのお二人の研修が行われました。お二人とも毎年、愛媛大学で研修を行われており、資料を見る限りではその内容も年々グレードアップしています。嶋本さんは、レタスの養液栽培を行うひむか野菜光房の経営と技術支援の他、ご自分の会社(プランツ)での農業資材や養液栽培装置の開発、販売もされているマルチな方です。この日はひむか野菜光房での総合的な環境制御技術の紹介や実際の経営の数字を含めたお話、それにこれから太陽光型植物工場を始める場合にチェックすべき事項などについてと、非常に豊富な内容でした。特に大規模経営の実際の経営収支について実例を交えて話され、うまくやればかなり魅力的な経営であり、研修を受講されている皆さん、特に学生の方でやる気のある方は、ぜひ考えて欲しいと結ばれていました。

○葉菜養液栽培技術と環境制御技術

嶋本さんのお話は、環境制御、肥培管理、生産管理、販売管理、経営管理と大変幅が広く、実際にシステム開発、技術指導、経営支援などに関わられていることが背景にあって、リアルな内容でした。その中で基盤にあると思ったのが、養液栽培と環境制御を一体的に行う技術でした。通常はこの二つは機器も供給メーカーも別個で、制御や操作も別系統で行われています。嶋本さん(プランツ)では、同じ制御機器で、二つの制御系統を区別せず同じ操作画面でモニターや設定が可能になっています。これは国産の機器ではあまり見られないもので、知る限りでは宮城県の一苺一笑さんの特注のイチゴ高設栽培用のものくらいです。

○制御系の特徴

とは言っても気象条件に応じたフレキシブルな養液管理を行っている訳ではありません。DFTなので、頻繁な養液管理での設定変更があるものでもありません。培養液の加温や冷却の制御は環境制御系の中で行われていると思いますが、その程度かもしれません。養液管理と環境制御を無理矢理分けても、問題はないかもしれません。しかし最初から設計の中で同じ制御系に組み入れて、同じ制御装置や制御盤などから接続、制御を行うことでのコスト削減はある程度期待できると思います。また操作もシームレスになると思いますし、特に遠隔からの制御やモニターでは、UXには有利な点があるのではと思います。

○驚きのマイナスの環境制御

レタス類が中心の栽培であり、CO2と飽差の制御がダイレクトに光合成速度や生長速度に効いてくるというお話がありました。あまりに光合成が促進されると転流が追いつかないためCO2の吸収が抑制される現象も見られるそうです。その場合には設定を調整し光合成を抑制する管理に変えるような、いわばマイナスの環境制御が行われているわけです。面白いですね。

○補助金申請と大規模施設園芸

このような技術的な背景もあって、レタス類の生産性は高く、条件次第では売上で10a当たり2000万円程度が見込めるようです。そのため1haなどの大規模化をせずとも、業界の目標でもある売上1億円には手が届く経営が実現できると思います。初期投資もその分、抑えられるわけですが、強い農業づくり交付金の申請の話も紹介され、申請のための書類作りの大変さなども語られました。それでも、利用できる補助事業は利用した方が良いということで、補助事業を前提としたかなり魅力的な経営試算例の紹介もありました。

○穴はどこにあるか?

いいことづくめに聞こえるお話ではありますが、もちろんそのようなことはなく、立地条件、人材確保や育成、歩留まり向上、販路開拓、販売と生産の調整など、数々のクリアすべきことも紹介されました。レタス類の場合、年間の需要傾向がかなりはっきりしたものであり、品物がだぶつく時期には計画生産をするとともに、なるべく売り切るような生産と販売の連携が必要である、との話もありました。赤字を出しての販売は避けたく、廃棄処分などはもっての他、ということになると思いますが、現実はなかなか厳しい面もありそうです。

○研修を終えて

このような技術から経営、事業の立ち上げなど、広範にわたる内容の研修には、なかなかお目にかかれません。もうお一人の小林さんの研修も、これに負けず劣らずの広範で深い内容の研修でした。愛媛大学に研修を受講しに来るのは距離的なこともあって誰もが、というわけにはいかないと思いますが、オンラインでグループウエアを使った遠隔からの受講もされていました。こうした環境を活用して、最新の技術や経営を学べるような仕組みは、どんどん広めるべきでしょうね。

http://www.jgha.com/jisedai/3011ehime.pdf

 

植物工場研究センターのある愛媛大学農学部(愛媛県松山市)

アグリビジネス創出フェア2018に参加しました

〇PRESSパスで入場

 

毎年開催されている農水省主催のアグリビジネス創出フェアに、今年も行ってみました。情報誌の編集をやっているのでPRESSのパスを付けさせてもらいました。一般のパスにはバーコードが入っていて、ホール入館のたびにスキャンを受けるのですが、これは入場者数のカウントでダブリチェックのためだと思います。プレスはそもそも入場者にカウントされていないということですね。

 

〇会場ブースは盛況

 

ビッグサイト西ホールのかなり広い会場で、アグロイノベーションとの共同開催のパターンは例年通り。アグロイノベーションは通路も広くゆったりですが、アグリビジネス創出フェアは、通路もコマも詰め込み気味で出展数も結構多い。都道府県、大学、国研の研究成果や研究シーズの展示が主体で、企業展示もそこそこありましたが、それも共同研究成果の発表の形だと思います。

 

〇セミナーも盛況

 

他にも、大小のセミナーブースの数が多く、出展者セミナーを自社ブースで断続的にやっている所も多くみられました。これは最近の展示会の傾向ですね。とりあえず人をブース前に止める効果があって、また同じテーマでも繰り返しやることでの効果(刷り込み?)もあると思います。メインステージのセミナーでは、ちょうど懇意にしている研究者の方の発表があって着席で聞かせてもらいました。研修発表のスタイルではなく、完全に事業成果のプレゼンのスタイルでした。一般の人向けにやさしい内容に落とし込んで、だけれど絶対に役に立つんだぞっという勢いで話されていたのが印象的でした。

 

〇オランダブースに寄った

 

オランダブースがあって、オランダのコンサルティング会社との合弁企業がブースを出され、良く知っているコンサルタントの方々と情報交換ができました。最近もオランダに行かれて、WHC(World Horti Center)の視察に行かれたとのこと。どうも民営の施設で、地元の農業高校の生徒たち向けの講義や実習を請け負う形で運営しているそうで、それを行いながら世界中からの見学者も大量に受け入れるビジネスモデルのようです。農業高校の生徒向けということろが面白く、プロフェッショナル養成とはちょっと視点が異なっていて、マーケティングの考えからすると底辺拡大から手広く進めているなあ、という所ですね。

 

〇薬草の試験研究

 

10年ほど昔にメーカーにいたときの共同研究の相手先の研修者の方にもばったりお会いしました。林業関係の研究機関の方ですが、樹木ということで薬草の栽培にチャレンジされていました。国内需要で10番目程度の薬草で、まったく聞いたことの無いものでしたが、たぶん商業生産もあまりされていない、山のものなのかもしれません。ツル性で、仕立て方にコツがありそうでしたが、年月がかかる栽培ではどうも無さそうで、面白そうでした。

 

〇ドローンと施設維持管理

 

ドローン関係の展示もボチボチで、水利関係施設の維持管理でドローン撮影した画像を解析し、ひび割れの程度などから補修のプランを解析・立案するようなシステムの提案がありました。維持管理はCIVILではホットなテーマなので需要は高そうでしたが、画像の分析診断にはやはりAIが使われていました。展示説明は測量会社の方がされていましたが、ドローンを飛ばすのではなく、ドローンなどで撮影した画像を受け取って解析に回すそうです。サービス業務としてはこれから立ち上げるようでしたが、情報処理の仕組み作りと測量業界のフットワークに注目したいと思いました。

 

〇知り合いに会った

 

出展者にも来場者にも業界関係者、研究者など知り合いが多く、正直に言いますと展示を見にきたのではなく、知り合いに何人にも会って、最近どう?って話をするのが目的でした。たぶん他の皆さんも同じではないかと思います。研修シーズ型の展示会ってシーズとのマッチングが主たる目的だと思いますが、産学コーディネータの方も大勢控えていて、やります感は高かったです。シーズ側のお客さんをこの会場に連れて来てあげられれば、皆さんから感謝されるでしょうね。出展者側に昔の仲間や知り合いの研究者の方を見つけると、やはり声をかけたくなります。こういう時にPRESSパスを見せてPRもやっちゃいますよーって会話から盛り上げていく感じでやってます。以上、展示会の私的レポートでした。

 

http://agribiz-fair.jp/

 

JUGEMテーマ:農業

大規模施設園芸と中規模施設園芸

ある県からの依頼で、大規模施設園芸での労務管理についての報告と、実際に大規模とまでいかない、中規模(0.5〜1ha程度)の経営に参考になりそうなことについて、お話しすることになりました。中規模施設園芸という用語はあまり聞いたことはなかったのですが、家族経営からのステップアップとして必ずくぐる経営規模ではないかと思います。そこに焦点を当てた経営のポイントについて、改めて考えてみたいと思います。

 

経営のステップアップと考えた場合には、すでにある施設に加え、新しい施設を増設して規模拡大をはかることが考えられます。タイミング的には後継者の参入時や、経営委譲時などがあり、借入や補助金の利用も必要と思われます。よって中規模といいいながらも経営計画や返済計画の策定が求められ、また新たな雇用や販路の確保も求められるかもしれません。設備的には、最新のスペックのものを導入するチャンスとなりますが、資材費の高騰から慎重な投資も求められます。技術的には、今までの蓄積の上にさらに最新のものを上乗せしていくチャンスですが、そのための情報収集や場合によっては研修等への参加も必要になると思います。

 

中規模経営へのステップアップにおいて、大規模経営とは桁が異なるものの、資金計画、生産計画、販売計画、及びそれらを総合した経営計画を事前に綿密に詰めることが必要でしょう。施設資材費が高騰するなか、初期投資の回収が年々困難になって来ており、中規模といえども、借入返済がとどこおるような経営では済まされないためです。

 

これらを踏まえた上、実際の栽培や出荷業務での労務管理をどのように進めるかになりますが、大規模経営と中規模経営では、管理対象となる組織や人材の規模が異なり、同じ手法が取れる部分と取れない部分が出てくると思います。例えば従業員が10名程度であれば経営者自らが指示を行うことも可能かもしれません。しかし数十名の規模となると経営者がすべてに目配せすることは無理で、中間管理層がどうしても必要となります。この分岐点がどこになるかですが、管理の権限委譲を進める方針の経営者であれば中規模であっても 中間層を置いた組織作りを進めると思います。

 

その他にも、大規模経営では社員やパート従業員のキャリア形成のことをある程度考え、のれんわけや独立も考慮した処遇も必要になることもあるかと思います。しかし中規模経営ではそこまでの余裕はないかもしれません。他にも大規模経営と中規模経営の管理面の違いは色々と見つけられると思います。さらに技術面や設備面についても検討事項はあると思います。引き続き、このテーマは追って参りたいと思います。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業

施設野菜メーカーの誕生

製造業出身で大規模施設園芸法人で生産管理をされている方のお話です。大規模施設で野菜を毎日生産して、スーパーなどに出荷しているが、考えてみるとこれは野菜のメーカーではないか? 工業製品を作って売るような仕組みを、施設野菜生産に当てはめてみたいが、季節や天候に左右されることを考えると、製造業のモデルはそのままでは成り立たない。自分らなりのモデルを作りあげたい、ということでした。

 

製造業の方は製造や物流、販売のモデルを作って横展開するのが、大変お得意だと思います。かたや農業、施設園芸の分野では、地域性が優先してしまい横展開という発想には馴染まなかったと思います。また大規模経営の歴史が浅く、モデル化に至るまでの様々な検討もこれから、ということもあると思います。

 

野菜メーカーを考えた場合、横展開がしやすいと思われるのは人工光型植物工場が考えられます。これは土地の形状が定まれば、施設のレイアウトなどは一定のルールに従い決定できるためで、地域性や気象条件をそれほど考慮する必要はないためです。しかし一般の施設園芸や大規模な植物工場的な施設の場合は、気象条件に合わせた耐候性の仕様などが大きく異なる場合があります。設備的にはそうした問題があるものの、実際の野菜生産のプロセスの標準化やサプライチェーンの構築と管理、組織形成と人的資源管理、安全衛生管理などのモデル化は、太陽光がた、人工光型を問わず必要になると思います。

 

野菜メーカーとして横展開がされた代表例には、カゴメの生鮮野菜事業での全国のトマト菜園があります。モデル化のベースには、食品工場の運営ノウハウや安全衛生管理のノウハウがあったかと思います。しかし農地や非農地への大規模温室の設置には地元関係者との粘り強い調整があったものの、地域ごとの苦労もあってモデル化がされてきたかと言えば、部外者には良くわからないとのが正直なところです。

 

施設野菜メーカーとしての製造工場のモデル化は、立ち上げ段階のモデルと、運営段階のモデルとを分けて考えるべきと思います。おそらく立ち上げ専属の部隊も必要になって、用地探しや交渉、設計見積施工検査、要員集めと教育訓練、初年度からの円滑な業務開始、販路開拓整備、等々とやるべきことは山ほどあると思います。最初のいくつかも案件では試行錯誤も多いと思いますが、経験値が積まれることでモデル化も容易となっていくでしょう。またそこから運営段階のモデルも徐々に形成されてくるかと思います。

 

施設野菜メーカーのモデル化という分野は、カゴメのようかなり大規模な施設を対象としなくても考えられるのではないかと思います。ミニマムな条件を想定してモデル化を図ることは、今後の施設園芸におけるビジネス展開のためにも必要なことかと思います。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業

施設園芸ヒートポンプ活用の優良事例

職場には色々な方から色々な電話がかかってきます。職場は公益法人のため、何でも答えてくれるだろう?、と誤解されている方が少なからずいらっしゃるわけですが、よほど忙しくなければ受けた電話には出来る限りの受け答えをするようにしています。

 

今日は、「ヒートポンプ利用の優良事例があれば教えてほしい」という問い合わせの電話でした。燃油価格がじわじわ上がってきて、ヒートポンプの暖房利用が復活か?というところですが、資機材の価格も電気料金も上がっています。また、今まで導入されたヒートポンプの利用上の問題点もでており、一方で製品の改良も進んでいます。燃油価格の上下に影響されやすいヒートポンプの利用について、エネルギーコスト面から少し距離を置いて評価や課題を良く考えるべきかと思います。

 

パッドアンドファンの上に取り付けのヒートポンプ室内機

 

問い合わせには今日は即答しませんでしたが、優良事例をどう考えるか、整理が必要と思います。ヒートポンプはエネルギーコスト削減だけでは無く、暖冷房の両方に使えること、暖房と組み合わせた除湿が可能なことを考慮すれば、年間を通じた利用が可能な機材と言えます。通年利用で稼働率を上げれば導入効果も上がりますし、電気式ヒートポンプの場合、通年で支払う基本料金の負担感も低減されるでしょう。

 

暖房期間以外には、暖房負荷が低下して相対湿度が上がりやすい秋口や春先での除湿利用、また夜冷による高温期の着果や生育の促進など、いくつかのポイントがあります。特に夜冷利用によって、作型の延長や前倒しが可能になれば、秋口など生産量が低下する時期での有利な販売が組めることがあります。こうした販売と収益化につながるヒートポンプ利用が、優良事例と言えるのではないでしょうか。

 

施設導入時から夜冷利用を中心に考えるケースは少ないかもしれませんが、高冷地以外での施設園芸を検討する際には、夜冷による作型の可能性を選択肢に入れるべきでしょう。今後も厳しい夏の暑さが続くことは誰もが想定しているからです。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業

施設園芸・植物工場現場のキーパーソン

ある大規模施設の全体の管理を担当されている方とのお話です。何十人単位のパート従業員さんの中で、技量が優れ、他のパートさんへの指導もできる方が、実際の農場運営のキーパーソンになっているとのこと。現場のキーパーソン中心に、栽培や収穫などの作業を回すことができ、そのことで数名いる社員は営業や栽培技術、コスト管理などに集中できるようです。

 

他の大規模施設の運営のお話を聞いても、こうしたキーパーソン(女性です)のパート従業員さんを、契約社員や準社員などに引き上げて、責任のある担当業務を振り分けているケースをお聞きします。彼女達が管理するパートさんは常時数十名になりますが、個々の能力や技量、勤務時間や家庭の事情などを把握して、作業や日常業務の組み立てを任せられるまでになっています。また、ある程度は植物の生育状態を見ながら、次の作業の優先順位を判断するなど、農場長の右腕となるまでなっています。

 

フォークリフトを操作する女性従業員

 

こうした高いレベルで農場運営の多くを任せられるキーパーソンを確保できれば、農場経営の安定化が望めると思います。そのレベルまで達するには、多くのパート従業員の中から技量が高く、リーダーの素養もあり、農場の仕事が好きな人材を見つけ育てて行く必要があると思います。それには時間も要するでしょうが、社員が中心で動かす組織から、現場への権限委譲を進め、キーパーソンを引き上げるような経営方針が、今求められているように思います。

 

私のところにも、「新しい大規模施設の立ち上げ計画があり、農場長候補を探しているが、いい人はいないか」といった問い合わせが来ることかありますが、まず紹介できるような方は、すぐには見つからないと思います。それだけ人材が少ないのがこの業界で、この問題にも真剣に取り組む必要があると思います。しかし、その右腕となっていく現場のキーパーソンがいなければ、いくら優秀な農場長がいても、すぐに現場を回していくことは難しいかもしれません。日本的な組織、雇用のテーマかもしれませんが、農場運営を担うミドル層のキーパーソン育成は、大切なテーマであると思います。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

JUGEMテーマ:農業