きゅうり施設園芸農家の未来

先日、きゅうり農家の方を数軒、訪問させていたただきました。きゅうりはトマトに次ぐ施設園芸の主要品目ですが、トマトのような新規参入や大規模経営も少なく、高齢化などによる衰退が目立つ品目です。しかし需要は底固く、業務用途でも漬物用からサラダやカット野菜用への推移があり、カッパ巻きや恵方巻などの巻物用などのは欠かせない野菜であり、販売単価も比較的安定していると思います。

 

篤農家のきゅうり施設栽培

 

きゅうり農家の方のお話からは、悲観的なことは聞かれませんでした。台風などの強風に強いハウスを持たれ、自動化や省力化のための設備も備えられた農家の方で、経営の基盤はしっかりとされていました。収量が上がればトマト以上に忙しい品目ですが、価格の下支えもあって豊作貧乏にはなりにくいと思います。そのためか、経営的な見通しを明るく持たれている雰囲気を感じました。

栽培的には病虫害との戦いや、新品種の導入が常にあって、安定的な生産が誰でもできる、という品目ではないと思います。また環境制御による生育や収穫への影響がダイレクトなため、差がつきやすい品目かもしれません。また、技術的な課題をクリアできる農家であれば、チャレンジのしがいがある品目と言えるかもしれません。

 

一方でヘクタール規模の施設きゅうり栽培例は国内にはほとんどみられません。これはトマトとの大きな違いです。これについて論じられたこともあまりないと思いますが、やはり収穫が待ったない品目のため、作業遅れに対するバッファのなさが規模拡大にストップをかけているのかもしれません。こうしたことに対し、ヨーロッパ系の200g以上の果実がつく品種を使い、収穫作業バッファを作るような提案もお聞きします。しかし収穫〜選果〜出荷〜業務利用の流れができあがったきゅうりの流通に、こうした規格の変更を受け入れる余地があるかどうかはわかりません。

 

きゅうりの規格、品種、流通に変化が起これば、栽培や経営の形態にも大きな変化が起きるかもしれません。現在のきゅうり産地の維持が難しくなり、韓国産などの輸入品での代替も進まなくなった場合には、そうした変化が起きる可能性も考えられるかと思います。新たなきゅうり栽培を担える農家がいずれは育ってくることを願っています。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

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