アスパラガス収穫ロボットの提供サービス

先日、佐賀県のアスパラ農家さんに伺う機会がありました。有明海と雲仙普賢岳を望む山の上、ミカンの園地を造成してパイプハウスが何棟も並んでいるロケーション、日当たりと風通しが良く、アスパラ栽培にも良さそうな場所でした。ご主人の安東さんのお話を伺うと、奥さんが地元出身で自分は農業経験もなく新規で始めたとのことでした。ハウス内の土壌から伸びたアスパラをもいで食べさせていただくと甘く、やわらかく、とても美味しく、驚きました。生でアスパラを美味しくいただいた経験は初めてでした。

 

遠くに雲仙普賢岳を望む山の上に建設されたパイプハウス

 

安東さんによると、向きや面積が異なる10棟近いパイプハウスごとに、施肥や温度管理の方法を少しずつ変え、試行錯誤しながら栽培を続けられたとのことでした。おそらく様々なトライ&エラーを重ねて、よりよい管理条件を見つけらものと思います。またご自分で試験区を設定した実証試験とも言え、データを残し、確認しながらの科学的な手法を取られたものと感心をいたしました。特に堆肥にはこだわられていました。

 

畑でもいで、生で食べても、甘く美味しいアスパラガス

 

 

〇収穫ロボットの導入

 

園地は元みかん畑ということで、用水も導入され、送水ポンプの圧力で園内の潅水もまかなえていました。液肥は混入機で施用されており、ハウスの巻き上げ換気は手動で、他には環境モニタリング装置(みどりクラウド)がある程度で、非常にシンプルな栽培設備でした。

 

ところがお話を伺うと、アスパラの自動収穫を行うロボットの試験をされているとのことでした。当日はロボットによる収穫を見ることはできませんでしたが、自動走行のためのラインテープがハウス入口付近に敷設されていました。ロボットは収穫コンテナを搭載する自走式のもので、画像処理装置とカッターやハンドが先端についたアームからなるもののようです。

 

安東さんのハウスでの自動収穫の動画です。

 

ロボットメーカーはアスパラ用の実用化を皮切りにキュウリ用などの開発も行っており、しかもそれらの産地である佐賀県に拠点を置き、本格的なサービスを開始するとのことで、これから本格的な導入が進むのかもしれません。

 

 

〇ロボットの提供サービス

 

動画にあるように、このロボットは小型で、軽々と動く感じもし、装置や機構もシンプルのようです。ロボット1台の値段は分かりませんが、安東さんによると、メーカー側は販売ではなく提供サービスを行う予定とのこと。提供料金は、その時々のアスパラの市場価格を参考にし収量などから売上額を算定して、その一部をサービス料として設定する考えのようです。また装置にトラブルがあった際には近くの拠点からメンテナンスサービスを行う体制も構築されるようです。作物や地域を限定したスモールスタートのビジネスであるのでしょう。大手メーカーとは異なった手法であると思います。

 

おそらくロボットを購入した場合、初期投資には何百万円かは必要になると想像します。それを利用料金を徴収しながらサービス化することで導入費用を抑え、普及を促進することがビジネス上のポイントと思われます。機能向上や上位機種の開発など、日進月歩の分野になると思われ、購入形態はそもそも適切ではないのかもしれません。この点はハウスのリース事業などとは異なる点かと思われます。所有しなことでのメリットが利用側とメーカー側の双方にあるビジネスモデルになると思われます。

 

 

〇施設園芸・植物工場分野のサービスの発達

 

製造業のサービス化が言われて久しいのですが、農業機械や農業資材の業界でも徐々に浸透していると思います。消耗資材を除き耐久資材や耐久製品であれば、サービス化は基本的には可能と思います。また保険と組み合わせることで、災害や事故等のリスク移転も可能となります。施設資材の価格高騰が言われ久しいのですが、こうしたサービス化の波は徐々に広がり、サービス価格の形成も現場では進んでいくものと思います。安東さんとロボットメーカーさん(inaho)の取り組みには注目してまいりたいと思います。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

 

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