新型コロナウイルスの施設園芸・植物工場への影響

日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、農業、施設園芸、植物工場の分野への影響について少し整理をしてみます。状況の推移は流動的ですので断定は避けるべきですが、冷静になるためにも考えてみたいと思います。

 

外出やイベント等の自粛と農産物需要への影響

 

政府の要請により、小中高校での一斉休校の措置がとられつつあり、また外出やイベントの自粛、大勢の人が集まるレジャー施設等の休業など、社会における人の流れに大きな影響が出ています。これにより、必要とされる食事や原材料となる農産物の需要に直接の影響が発生し、特に学校給食や業務用途での食材の需要に大きな影響が出ていると思われます。一方で国内全体の食料需要は人口に応じたものであり、総需要としては大きな変化は無いはずです。すなわち、どこかで減った需要は、別などこかで吸収されて、全体としてはバランスが取られているものと思われます。家庭に籠る生活スタイルが一時的に増えるのであれば、宅配や通販などへのシフトが起こっているはずです。貯蔵が効かない生鮮野菜などでは、この傾向が大きいのではないでしょうか。流通経路の一時的な変化という側面があるものと想定されます。

 

一斉休校による従業員確保への影響

 

小中高などのお子さんをお持ちで、農業生産現場や植物工場などで働いている方々にも、これから様々な影響が出ると考えられます。またパートタイムの従業員を多く雇用する場面では、従業員の確保に影響が生じる可能性もあるでしょう。天候が上向き、農産物出荷量が増加する時期であり、人の確保が何より必要となる時期に当たります。一律の休校措置となると、家庭への負担とともに、生産現場への影響も見込まれ、混乱が心配されます。託児施設を持つ植物工場事業者を全国で何か所か存じ上げていますが、そうした施設や機能が改めて注目されるかもしれません。

 

従業員の健康管理、衛生管理への影響

 

感染拡大により、職場での感染者発生について考える必要があると思われます。日々の従業員健康管理は植物工場施設やGAP認証を受けた施設では不可欠となっていますが、さらに高いレベルでの予防的措置や出勤停止措置などを考えなければならない場面もあるかもしれません。幸いにも、手洗いや消毒などの機能や手順は、ほとんどの大規模施設園芸や植物工場施設では整備がされています。さらにそれらの日常管理レベルを上げるなどの措置も必要とされるかもしれません。また従業員の職場外での健康管理や衛生管理にも配慮が必要になると考えられます。

 

事業継続計画への反映

 

昨年来の気象災害の多発や停電による二次災害の発生により、大規模施設園芸や植物工場の経営での事業継続計画(BCP)の策定が重視されるようになりました。すでに策定や改訂を重ねられている経営体も多く、緊急時の連絡や保守、事業体制などが整理され、また訓練も行われているものと思われます。今回のような人のウイルス感染拡大を想定した事業継続計画の策定も、クローズアップされるかと思われます。何より健康と人命重視が求められ、事業継続の優先度が問われる場面も想定しなければならないかもしれません。社会や産業全体で考えなければならない問題かもしれませんが、個々の経営体においても重要なテーマになると考えられるでしょう。

 

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

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