韓国慶尚南道・晋州市の約104ha大規模イチゴ団地

韓国南部にある慶尚南道の晋州(Jinju)市に、「南川下流埋め立て地「デピョン地区」農地組成事業」として、埋立面積約141ha、農地面積約104haというイチゴ生産を行う大規模な施設園芸団地があります。慶尚南道はイチゴ栽培が盛んで、さらにそれを集約化し、品種も統一(金実)しています。生産者数は約150戸とのことで、平均約1haでの大規模イチゴ施設栽培が取り組まれていることになります。

 

河の内側に広がるイチゴ団地のハウス群

 

イチゴ団地の区画

 

 

経営概要

 

訪問した生産者の施設は5000坪で、外国人労働者4名を雇用して11月から6月までの出荷をされていました。洗面器の形状をした1kg詰の包装(3段積みで3kg出荷)と、500g詰のイチゴパック包装での出荷でした。

 

1kg詰の包装

 

韓国国内でもイチゴの価格は高く、生産者のお話では日本円で¥2000/kg程度で出荷され、クリスマス時期には¥3000/kg程度になるとのことでした。

 

500g詰イチゴパックが4つ入りでの出荷形態

 

また東南アジアへの輸出もしており、輸出先では日本のイチゴと並んで販売されているとのことです。

 

栽培と育苗概要

 

栽培施設は団地全体ですべて単棟のパイプハウスで、奥行きが100m程度はありそうなものでした。お邪魔したハウスにはウォーターカーテン装置があり、外気温が-5℃までは無加温栽培が可能とのことでした。暖房装置として電気温風機が、また灯油燃焼によるCO2発生装置がありましたが、今年は平年の最低気温-7℃までは下がらず、-4℃程度とのことです。すべて高設栽培で、ウドンコ病の発生もなく、天敵利用のみで現在は化学農薬の施用は無しとのことでした。

 

単棟パイプハウス群

 

ウォーターカーテンとイチゴ高設栽培

 

韓国製の養液栽培装置類

 

本圃5000坪分の育苗も自家生産でまかなっており、採苗と生産を兼ねたハウスを何棟がお持ちでした。

 

採苗と生産兼用の施設

 

また挿し穂による親株の増殖も行っており、慶尚南道の関係機関で増殖されたウイルスフリー苗の供給を受けているようでした。

 

親株のセルトレイ育苗

 

イチゴ団地の概要と韓国の大規模施設園芸

 

訪問したハウスは200坪程度で、この規模のハウスが全体で2000棟以上あることになります。1経営体の規模も大きく、それがさらに大規模に集約され、品種も統一した生産が行われていることに、韓国の施設園芸の政策の特徴を伺うことができます。またほぼ無加温による栽培で、収量は訪問した経営者の話では単収7.5t/10a程度とのことで、販売単価も時期によってはかなり良く、収益も得ていることが伺えます。また統一品種と施設の集約によって販売面や物流面での施策も打たれているはずで、それが輸出にもつながっていることも伺えかがえました。

 

韓国の大規模施設園芸には企業参入と一般の農業生産者の規模拡大によるものがありますが、このイチゴ団地は後者であり、それも有数の規模となっています。また訪問した生産者の経営に関する数値は聞き取りのため正確さに欠ける面はありますが、スケール感とともに、おおよその実態も把握することができました。すでにこうした経営と大規模化を実現している隣国の韓国の施設園芸の姿勢には学ぶべきところがあると思います。

 

イチゴ団地の碑

 

(追伸)視察のアレンジと同行をしていただいた農研機構野菜花き研究部門の安東赫氏に、碑文の翻訳をお願いしたところ下記の概要となります。安様、ありがとうございました。

 

南川下流埋め立て地「デピョン地区」農地組成事業

 

事業概要:埋め立て面積140.79ha、農地面積104.74ha(262筆)

事業費:8,592百万ウォン(晋州市5,145百万ウォン、韓国農村公社3,447百万ウォン)

農道舗装L=12.7辧排水路L=7.8

 

 


 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

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