新規開業技術士支援研究会で報告をしました

技術士の集まりである公益社団法人日本技術士会では、会員のグループ活動として、技術士の様々な部門を越えた各種活動を公認しています。そのグループのひとつである「新規開業技術士支援研究会」で報告をいたしました。この研究会の母体は「技術士協同組合」といって、1976年設立の文部科学省認可の事業協同組合という歴史のある組織です。

 

企業内技術士が多い中で、独立して自営することが本来の技術士の業務であり、そのため高い倫理観と中立性を保つことをモットーとした集まりとなっています。実際は自分のように独立までしていない技術士や、現役のサラリーマン技術士も多く、先輩技術士と新米や新規参入者との交流や情報伝達の場として、この研究会が開催されています。毎月第一月曜日の午後に1時間半程度の時間で、ベテランと新米といった組み合わせで2名の報告を行うことが定例になっています。

 

技術士事務所の開業と板木利隆先生

 

自分の場合、技術士を目指したのも、また実際に技術士事務所の開業を目指したのも、先月90歳で亡くなられた板木利隆先生(板木技術士事務所所長)というメンター技術士の存在がありました。板木先生の長年の実績やご功績に比べるべくもない自分ですが、そうした存在があってこその開業であり、また板木先生が残された言葉を折につけ思い出しています。板木先生の二つの言葉について、今回の報告でもご紹介したのですが、この場で繰り替えしてみます。

 

「技術士試験は他流試合」

 

12年前になりますが、初めて農業部門の技術試験を受けようと板木先生に相談をした際に、この言葉をいただきました。当時もほとんどの技術士試験受験者が企業内技術者や公務員技術者であって、組織内での技術業務が中心であったものの、板木先生は「国家資格試験である技術士試験では組織の壁を越えて実力を評価される試験」として受験に臨む心構えを言われました。おそらく板木先生は、「技術士資格を取ることで組織を超えより広い分野で活躍できる」ということを伝えられたのだと今でも思います。

 

「技術者は書くことが大切」

 

今年の2月に板木先生の自伝的著書「九十歳野菜技術士の軌跡と残照」の出版記念パーティーが開催されました。生涯で36冊の著書を出されたことについて「技術者は書くことが大切で、技術的なことについて言葉で伝えても、そのたびに内容が異なっては正確には伝わらない。特に技術的な内容については書いて記録にとどめること。」と言われました。このブログもその一つではありますが、人に伝えたいことはなるべく書き留め、また重要なことは繰り返し書き表し、多くの方にお伝えするのが技術者、特に技術士の務めであると、板木先生の言葉から考えています。

 

技術士協同組合の森田理事長

 

現在、技術士協同組合を率いているのは、機械部門の技術士である森田祐之理事長です。森田理事長は著書「技術士 独立・自営のススメ」を同組合のメンバーと出版をされ、技術士資格は本来は独立自営の技術士向けのものであること、その差別化のポイントは中立性であり、高い倫理観であることを述べられています。この考え方は技術士協同組合の設立趣旨そのものであり、独立自営の技術士が業務を得る際に絶対に必要なこととされています。持続性の高い業務、環境など社会的な影響を考えた業務に対するには、この二つのポイントは外せないことです。この日も森田理事長の前での発表で大変緊張をしましたが、会の最後で「技術士を派遣する会社を通じて業務を行うべきではない。ピンハネをされることになる。独立した技術士は自分で仕事を取ってくる気概を持っていただきたい。」と強い言葉で締められていました。

 

技術士協同組合 森田理事長著「技術士 独立・自営のススメ」

 

その他にも、独立自営の技術士を志す際に「徹底した自己分析」、「先輩技術士の観察」、「自分のリソースの確認」の3つを行うことを森田理事長は著書で述べられています。この日の報告でも3つについて自分なりに経過や結果をお伝えしましたが、技術士業務を行う際に顧客に何を提供できるか(リソース)、どのようなサービスで提供できるか(自己分析)、他の技術士との違いや共通性はどんなものか(先輩技術士の観察)について、これからも思いめぐらす必要があると考えています。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

 

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