国産間伐材の施設園芸利用

少し古い数字ですが、2017年度の林野庁調査で発電燃料向け国産間伐材・林地残材などの利用量が263万トンと初めて200万トンを越えました(0218年9月23日付、日本農業新聞総合面)。発電機やボイラーを持つ全国の1398事業所を対象に木材チップの使用量を調査した結果で、記事ではFIT制度や各地に稼働開始している木質バイオマス発電所が、利用量増加の背景にあるとしています。また、2013年度の調査では約50万トンで、4年間で4倍以上の急速な増加と言えます。
 

施設園芸で燃料として用いられている木質チップと貯留槽


木材バイオマス発電と施設園芸利用

最近は数万KW規模の木質バイオマス発電所が全国に建設されており、使用量の多くは発電用途と思われます。また、間伐材利用による発電での電力買取価格が最高で40円/kwと木質バイオマスの中でも最も高いため、間伐材利用が増加しているとしています。売電を行った上で、燃焼発熱を利用した暖房など、施設園芸への熱供給も可能です。

最近では岡山県で建設された大規模施設(10ha規模のトマト、パプリカ等の栽培施設)でも木質バイオマス発電が行われてる計画と聞いていますが、ハウスに隣接した発電所であり、熱供給もされると思われます。一方で最近の木質バイオマス発電施設は発電効率が良くなっており、その分の熱供給量は低下しているという話も聞いたことがあります。

 

木質バイオマスの燃焼による施設園芸への熱供給

発電施設まで設けなくとも、木質バイオマスを燃料としてた施設園芸利用は、ここ数年で実用化が進んでいます。カーボンニュートラスの燃料として温暖化対策となることが取り上げられていますが、エネルギー源の多様化という観点も重要と考えられます。すなわち、従来の重油やLPGなどの化石燃料と木質バイオマス燃料を併用したハイブリット暖房設備が多く、複数熱源の利用を前提としていることがあります。

例えば従来型の重油式の温風暖房機と木質バイオマス燃料を用いる温湯ボイラーを併用した大規模な施設園芸団地が静岡県の小山町に数年前に建設され、稼働中です。ここの団地周辺に地元産の木材を木質ペレットに加工する工場があり、輸送コストをあまりかけずに団地での暖房燃料として利用しています。また重油による暖房も併用していますが、重油が木質ペレットに対し発熱量当たりの価格で比較して高価であれば、重油使用量を減らし、木質ペレット使用量を増す、といった調整も可能です。

 

複数エネルギー源確保のメリット


このことにより施設園芸の生産原価の多くの割合を占る光熱費を低減する効果があると考えられます。また複数のエネルギー源を持つことで、エネルギー価格の変動や、エネルギー供給の安定性に対するリスク管理にもなると考えられます。

重油式の暖房機に比べると木質バイオマス利用の暖房機は一般的ではなく、導入コストも高い状況です。しかし、暖房を中心としたエネルギー利用は、昔から変わらぬ施設園芸の技術的、経済的ポイントの一つです。化石燃料に依存せず、地域資源で未利用資源でもある地元の間伐材などを利用することは、施設園芸の未来にとっても大切な要素であると考えております。

 

 

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