日本農業新聞紙面より「農家収集データ契約ガイドライン」、「アリスタ買収」

施設園芸業界で飯を喰う人間であれば、業界紙、業界誌の2、3は常時通読しなければなりません。日本農業新聞は国内外の取材網の広さと、特に国や自治体情報のキャッチが強く、必ず読んでいます。熟読する時間がなければ見出しだけはチェックしますし、スクラップも続けています。ここ数日のニュースを紹介します。

 

〇農家収集データ契約に扱い明記、農水省指針策定(2月3日付け1面)

 

記事概要:農家データをICTの活用で収集し活用するメーカが増えており、農水省は両者が結ぶ契約のポイントをまとめたガイドラインを策定した。契約書のひながたとして利用可能。背景にはノウハウの流出を懸念する農家サイドの意見がある。データの帰属先や二次利用・加工方法を明示することをガイドラインで促している。

 

この農水省の対応は、形式的措置とみるか、農家サイドの利益を保全する措置とみるか、あるいは契約をテコとしてデータの流通を促進する措置とみるか、様々な見方があると思われます。契約に不慣れな農家サイドに不利益とならないようなガイドラインであるべきと思いますが、一方で規制的な内容であれば、データの二次利用の先にある、様々なデータの相互活用や、クラウドサービス相互のアクセスといった三次利用まで阻害される恐れもあります。

 

これからのICTの世界は単独のサービスだけでは機能しなくなる予感があり、サービス相互のアクセスや互換性を踏まえた検討が必要に思います。その入口である農家収集データの扱いにも、先の先まで見る判断が必要と思います。

 

〇インド最大の農薬会社UPLが天敵製剤で日本最大メーカーのアリスタライフサイエンスを買収(2月2日付け1面)

 

記事概要:UPLはインドに本社を置く、世界的な大手ジェネリック農薬メーカーで、種子処理や収穫後処理など広範な製品を提供する。アリスタライフサイエンスは国内シェア8割の天敵製剤、受粉昆虫などの生物資材を扱うメーカーで、両社の補完関係でUPLの全世界の売上が倍増し、約50億ドルになる。拠点は世界76か国、販売は130か国以上になり、農薬だけでなくスマート農業にも参入する。

 

スケールの大きい企業買収で、アリスタライフサイエンスの実力も相当なものであったようです。買収金額は明らかではありませんが、製品開発力にもはずみがつくはずで、農業資材、農薬の業界も、化学製品や薬品の業界と同様に世界的な合従連携の流れに沿って動く可能性が出てくると思います。ただし製品開発力や販路に強みがなければ買収の対象にもならないわけで、本来の企業の持つ強みを磨きながら、さらに付加価値を生む努力が国際競争の中で一層求められることになるのでしょう。

 

ここでも、スマート農業の話題が出ています。これからは従来の商品を売るだけではだめで、水平統合による様々な連携を進めて、モノからコトへの変身を進めることが農業、施設園芸の世界においても求められると思います。

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

 

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