技術士2次試験総合技術監理部門の受験参考書を日刊工業新聞社より2021年初頭に発行いたします

農業技術士の土屋です。2021年の初頭に日刊工業新聞社より技術士2次試験総合技術監理部門の受験参考書を共著で発行予定ですので、お知らせいたします。タイトルは、「技術士第二次試験「総合技術監理部門」難関突破のための受験万全対策」の予定です。

 

 

 

技術士(総合技術監理部門)とは?

 

平均合格率10%で難関と言われる技術士2次試験は、技術士の一般部門と呼ばれる20部門(農業部門、機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門、電気電子部門、化学部門、繊維部門、金属部門、資源工学部門、建設部門、上下水道部門、衛生工学部門、森林部門、水産部門、経営工学部門、情報工学部門、応用理学部門、生物工学部門、環境部門、原子力・放射線部門)と、総合技術監理部門の計21部門で毎年行われる国家資格試験です。

 

総合技術監理部門(以下、略称の総監と呼びます)は、一般部門の資格を取得した技術士がさらに上を目指すよう受験する資格であり、一般部門での専門技術に加えてより広範囲の管理技術を身に付け、全体最適化を行う能力を問われます。その定義は文部科学省が公開する「総合技術監理キーワード集2020」によるもので、バックボーンとなる学協会などは存在せず、国が要件を定めた資格となります。同キーワード集には、総監が導入された背景が次のように記されています。

 

総合技術監理が必要とされる背景

 

科学技術による様々な成果は日々の生活の中に浸透し,人々はその豊かさ,便利さを 享受している。しかし科学技術そのものは巨大化・総合化・複雑化が進展しており,そ の発達を個別の技術開発や技術改善のみによって推進することは難しい状況になりつつある。つまり,科学技術を発展させるのは一部の専門家の努力だけでは難しく,企業 や研究機関などの組織活動が技術の有効性を発揮するための大きな基盤となってきているのである。また,それに伴って事故や環境汚染が生じた場合の社会への影響も,従来に比して遥かに大きなものとなってきている。

(中略)

このような仕組みを継続的に運用し様々な科学技術の活用を行っていくには,それぞれの要求事項を個別に管理するだけでは不十分である。業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づき,複数の要求事項を総合的に判断することによって全体的に監理していくことが必要となる。このような背景から,上述のような能力を持った人材を育成し 活用を図るため,技術士のひとつの部門として「総合技術監理部門」が導入された。

 

業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析、複数の要求事項を総合的に判断することとあり、先般の日本学術会議をめぐる政府答弁にもある「総合的・総合的」なことが求められ、時代とも妙な符合もあると言えるかもしれません。

 

 

総監試験の難しさ

 

総監の定義は示されているものの、それを実践するのは個々の技術士であり、日常業務において様々な俯瞰的・総合的な分析や判断が求められる中で、部分最適ではなく全体最適をどうやって実現するかが問われるものです。基本的にそうした能力を確認するための試験となりますが、具体的には択一式試験40問(2時間)と筆記式試験1問(3時間半)を受験し、その合格者はさらに口頭試験で業務経歴の詳細などについて試問を受けるものです。合格率も5~10%台であり、般部門の試験よりもさらに難関となります。

 

総監試験の難しさは、まず択一式試験の受験対策で多くのことを学ぶ必要があることで、前述のキーワード集には約800の管理業務にかかわる語句が示され、それらを自分で調べ整理し、例題や過去問などでトレーニングを積まねばなりません。範囲は、経済性管理、安全管理、人的資源管理、情報管理、社会環境管理と広範囲なもので、すべてを理解し設問に対応するには時間と手間を要します。こちらが本年の択一式試験40問の出題です。

 

また記述式試験は3000文字の解答用紙を3時間半で埋めるもので、まず時間と分量のハードルが高く、さらに文章の構成力と論理性が問われ、かなり論文を書きなれていないと本番での対応が難しいと考えられます。そして記述式問題の出題は?と言えば、これも長文(本年出題はA4用紙3枚に及ぶ)で複雑な内容であり、解答の用件を2重3重に示した上で、それらの用件に適する内容の解答を指定した枚数内に記せという、一見では面食らうかもしれないものとなっています。ご興味がある方は、本年の記述式試験の出題内容をご覧になってください。読みこなすだけで30分以上かかる内容です。

 

 

本書の概要について

 

このように難易度が高い試験ですが、毎年数千人の受験者がおり、受験参考書をもとに独習をしたり、各種受験講座を受け、また添削指導を受けながら論文執筆能力を高めるよう努力をされていると想像します。しかし、これだという受験対策の指針を示した参考書類はなかなか見当たらないのも現実で、総監受験生のお役に立てる書籍を世に出せないものか?というのが執筆の動機でした。

 

本書は、技術士(総監、建設部門)の森浩光さんと、技術士(総監、農業、経営工学部門)の土屋の共著で、現在執筆の最終段階にあります。発行元は技術士試験参考書籍を数多く出されている日刊工業新聞社で、来年初頭の発行を予定しています。令和3年の2次試験対策には間に合うよう準備を進めているところです。

 

内容は、総監とは?に始まり、受験申込書の書き方や盛り込むべき内容、択一式試験の解法、記述式試験の解法と添削事例を多数、口頭試験対策と想定問、付録としてキーワード集の解説と択一式試験の対策についてと、総監の受験対策分野を網羅したものとなっています。

 

共著者の森さんも私も本業がある中で様々な副業も行っており、その一つが技術士受験指導業務です。そこでは指導のためのテキストを作成し講習を行い、最近はオンラインセミナーやeラーニング形式で行うことも多くなり、さらに個別の添削指導を行っておりました。著者はそうした指導経験の中で受験生が陥りやすいミスや理解しずらい内容などを把握しており、本書の執筆の材料としております。これから受験に臨む方や、リベンジを期する方の座右の書となるよう、最終の執筆を進めてまいります。どうぞご期待ください。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

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