南九州大学で環境園芸論の講義を行いました

宮崎県都城市にある南九州大学園芸環境学部にて、園芸環境論の講師をいたしました。2年生の環境園芸論の単位講座で、また公開講座として「スマート農業の視点ー施設園芸と環境保全」のテーマで90分の講義となりました。聴講生は50名ほど、また担当教官で環境フィールド科学センター長の山口健一教授のゼミからも多数の専攻生にも聴講いただきました。自分にとって、農業関連機関や企業向けセミナーでの講師経験はあるものの、大学での講義は初めての経験でした。

 

南九州大学環境園芸学部での講義


大学生に向けた次世代の施設園芸について

20歳前後の学生で、農業関係機関や企業への就職を目指す若者が聴講生でしたので、10年先、15年先の施設園芸のイメージについて、まず示しました。人口減少のスピード以上に農業や施設園芸の担い手高齢化が進む一方で、施設園芸面積の現状維持は難しく一層の減少も予想されること、さらに働き方改革の影響が及んで他産業での労働条件の改善と同様に対応を進めないと、雇用確保が難しくなること、こうしたマイナス要因についてです。

マイナス要因をカバーするには様々な形で生産性を上げなければならないこと、生産性の指標として施設面積当たり、労働時間当たり、エネルギー投入量当たりの各生産量があり、それらの向上策についての考え方を示しました。

スマート農業について

生産性を上げるための要素技術として環境制御があること、そのための計測制御機器類はセンサー、空調機器、カーテンや天窓の駆動装置など昭和の頃から実用化されたものが多いこと、最近ではヒートポンプやバイオマスボイラーなど多様化が進んでいること、施設の大型化に従い計測制御点数も増え、制御装置もPCやクラウド経由での操作に変わってきたことなどを示しました。

スマート農業そのものには触れる時間はありませんでしたが、生産性向上のためには環境、労働、エネルギーについて管理指標が必要であること、そのためにはデータにもとづく管理、すなわち見える化が重要であること、経験や勘から数値による管理やコミュニケーションが重要となることなどを示しました。

施設園芸と環境保全について

施設園芸で生産性を向上することは重要ですが、その一方で生産に伴う廃棄物が大量に発生することを示しました。植物残渣、培地、肥料分、廃プラスティック、そして化石燃料の燃焼にともなうCO2発生について示し、それらに対する環境保全策の基本的な考え方を示しました。

基本的な考え方には3Rとして、Reduce(減量)、Reuse(再利用)、Recycle(循環)があり、おのおのの実践例として、暖房における省エネ技術、プラスティックの再生利用、養液栽培での培養液循環システムなどを紹介しました。

CO2については、光、水とともに植物の光合成の原料となること、植物は呼吸に伴いCO2の発生もしていること、環境制御技術の中で半閉鎖系のハウス内でCO2濃度が低下した際に灯油等の燃焼などによりCO2を供給していることを示し、温暖化ガスと言われるCO2が施設園芸では様々な役割にあることを示しました。

実質70分程度の講義でしたが、前列で真剣にメモをとったり、興味がある内容に耳を傾ける聴講生もみられました。2年生には少し濃い内容であったかもしれませんが、次世代の農業、施設園芸を担う学生に、将来を見通した学習のポイントを伝えるための講義としたつもりです。講義の準備にご尽力をいただいた山口先生とゼミ生の皆様には、厚く御礼申し上げます。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

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