干拓地の施設園芸

先日、九州のある農業生産法人に伺い、その足で干拓地を車で通りました。古くからの干拓地でしたが、大区画に整備がされ、一面に露地作物が栽培されていました。施設園芸も一部で行われており、見渡す限りパイプハウスが並び、中ではレタスが栽培されていました。ハウス棟数まで数えることは出来ませんでしたが、この干拓地の一区画は確か6haと伺ったことがあり、ざっと4haくらいの単棟ハウスが並んでいる様に見えました。国内有数規模であると思います。

 

干拓地のパイプハウス群(レタス土耕栽培中、2月中旬撮影)

 

先月は韓国へ施設園芸団地の視察に伺いましたが、合計約100haの単棟パイプハウスが一ヶ所に建設され、同一品種でのイチゴ高設栽培を行っており、東南アジアへの輸出も行われておりました。韓国では蛇行する川の内側に造成された広大な区画にハウス群がありましたが、この九州の干拓地も潜在的にはそうした大規模施設園芸団地に進化する可能性はあるように感じました。

 

干拓地施設園芸でのスケールメリット

 

野菜の価格が低迷する中で、施設園芸への転換と投資にはもちろんハードルはあると思いますが、スケールメリットを設備投資や作業効率、販売戦略、物流構築などに活かせる可能性もいろいろと考えられそうです。最近は運賃の上昇が激しく、遠隔地での物流条件は厳しさを増していますが、大規模化での物流面では、搬入資材にしても、出荷もしても、廃棄物搬出にしても、積載効率の向上や、他の法人などと組んだ一層の効率向上が期待できるかもしれません。また作業面では、相変わらず手作業が中心の施設園芸生産の中で、搬送作業の合理化はスケールメリットを活かせる部分かと思われます。その他、インフラ面では大規模な雨水貯留槽の設置、選果貯蔵施設の集中化なども期待できそうです。

 

干拓地施設園芸の環境制御

 

九州の干拓地での施設園芸であれば、加温に必要なエネルギーも少なくて済み、またハウスの換気開放期間も長く、高度な環境制御の必要性が幾分低いとも言えます。そのため簡易な設備と低投入型の施設園芸が可能な地域とも言えるでしょう。一方で雇用維持のため、周年作業体系も組む必要があることから、夏期高温期の栽培環境や作業環境の構築が大きな課題になりそうです。これは最近メジャーになりつつある遮熱剤の塗布や、ハウス換気性能の向上、気化冷却設備の導入などを組み合わせることで、一定の効果は期待できます。この点にどれだけ設備投資や追加投資をするかが、ポイントとなるように思います。

 

大規模化と雇用確保、高温対策

 

雇用の確保が、どの施設園芸産地でも重要な課題となっている中で、大規模化のデメリットはこの点に明確に出るかと思います。特に周辺人口が少ない場合は、外国人技能実習生の活用が不可欠になっています。ただし、外国人に頼る経営が今後も続くかどうか、不明な点もある訳で、やはり従業員にとって働きやすい環境作りもこれからのポイントになるかと思います。スケールメリットを生かした作業環境、労働環境の向上ということになりますが、ハウス内作業時の送風や冷却、休憩場所の確保、屋内作業の集約化、作業者の健康状態の把握と管理など、多様なテーマがあるでしょう。労災防止のため建設土木分野ではこうした取組みが一歩進んでおり、見習う必要もあると思います。

 

施設園芸の多様化と干拓地施設園芸

 

大規模化と言っても、単一作物を大量に生産出荷するだけでは自ら値崩れを招く可能性もあるでしょう。多品目による複合経営が自ずと求められ、いくつかの作型と作業ピークを上手に組み合わせることが経営の成否に影響するものと考えられます。外部環境である人材供給と物流の制約を、複合経営での工夫や生産性向上によって乗り切ることができれば、干拓地の大規模施設園芸の将来性はまだまだあるように感じた次第です。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

 

茨城県・結城地域農業経営ステップアップセミナーに講師参加をしました

昨日、茨城県の県西農林事務所 結城農業改良普及センター主催の結城地域農業経営ステップアップセミナーに講師として参加をしました。

 

八千代町中央公民館で開催されたセミナー

 

ご当地は首都圏近郊地帯にあり、圏央道整備により便も良い地域です。ニーズに応じた多様な生産(露地、施設、果菜、葉菜、重量野菜、複合経営など)がされているなか、施設生産性をさらに上げるには環境制御技術の導入は不可欠になっていると思います。そうしたことにご関心のあり、お集まりいただいた生産者や指導機関の方々に「環境制御を中心とした施設園芸の投資戦略」として講演をさせていただきました。セミナーのタイトルが「農業経営ステップアップ」ということで、経営段階や投資段階に応じて、環境制御技術をどのように活用すべきか、またそのために必要な施設設備、情報化技術、人材育成などを事例を交えご紹介いたしました。

 

茨城県の環境制御技術に関する取り組み

 

茨城県では次世代施設園芸技術習得支援事業をコンソーシアムにより実施しており、データにもとづく栽培管理や、そのマニュアル化などをイチゴ栽培を中心に進められていました。環境制御のもととなる温湿度管理や、樹勢管理などの管理指標を、実証栽培などから整備されており、単に機器類を整備するだけでなく、取られたデータの活用について総合的に取り組まれている様子でした。茨城県総合農業センターの専門技術指導員の方の報告では、そうした取り組みのプロセスを紹介されており、単に結果だけでなく、どのようにデータを活用すべきか、何に着目すべきかなど、これから取り組む際にヒントとなることを述べられていました。
 

環境制御機器等のメーカーPR

こちらの講演の他に、展示出展メーカーによるPRタイムがありました。環境制御装置メーカーから2社、養液土耕栽培装置メーカーからも2社のPRはありましたが、特徴的であったのが各社とも自社製品を中心としたクラウドサービスを立ち上げて様々な情報を取り出すことが出来るようにしていました。

環境制御機器メーカー1社では、機器から発生する計測データの他に、栽培や出荷に関わるデータも取り込み、さらにグループ単位での登録と閲覧も可能にするサービスをPRされていました。また別の1社では、まずは計測から始め、次ぎに制御へ進み、さらに高度な制御やネットワーク利用へと拡張するようなサービスの流れをPRされていました。

 

養液土耕栽培装置メーカー1社でも、潅水系のデータだけでなく、地上部の環境データもセンサーを追加して取り込み、栽培環境全体をモニタリングするサービスをPRされていました。

 

サービスの内容やメニューは各社それぞれでしたが、いずれも多くのデータを取り込んで、クラウド経由でどこからでも参照や設定を行えるもので、機能を向上すればするほど、各社の内容が似通ってくるように感じられました。モニタリングや制御の設定だけであれば、そうした相似は致し方ないと思いますが、おそらくデータ分析、その結果の定着プロセスまで考えると、ユーザー、グループ、産地ごとに様々な形態が現れるのではないかと思います。

 

今後のクラウドサービスの発展方向

 

各社のクラウドサービスはモニタリングと制御の設定から普及、導入が始まって来たと思いますが、次のステップであるデータの分析活用、有効利用の場面では、データの多面的操作、ユーザーや指導機関のモノの見方や知識、知恵の付与、といったことが加わってくるはずです。定型化が難しい内容かもしれませんが、その場合それらをユーザーが表計算ソフトなどを使って手作業で手間をかけ進めるのか、RPA (Robotic Process Automation)などで自動化や半自動化でのデータ処理をし、ポイントに絞ったデータ分析行為をすべきかなど、まだまだクラウドサービスの利用について検討の余地はありそうです。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

施設園芸総合セミナーでの果菜類の品目展開

昨日、本日と東京都内で「第41回施設園芸総合セミナー・機器資材展」が開催されました。環境制御技術やスマート農業に関係する講演が中心で、多くの方が参加され盛況でした。

 

 

内容も果菜類の生産に関するものが多かったのですが、従来のセミナーのようにトマトやイチゴが中心ではなく、様々な品目への展開があったのが特徴と感じられました。演題を列記してみます。【 】内は対象とされた品目名です。

 

様々な品目を対象とした講演の演題

 

〇農林水産省の施設園芸関係の施策および、自然災害への対応
農林水産省生産局園芸作物課 花き産業・施設園芸振興室 課長補佐 角張徹氏

 

〇スマート農業プロジェクトの施設園芸分野の取り組み
農研機構野菜花き研究部門長 坂田好輝氏

 

〇大規模施設園芸におけるJCT化とその波及効果 【パプリカ】
大阪府立大学研究推進機構植物工場研究センター 特認准教授 大山克己氏

〇トマトの収穫ロボット等の省力化システム 【トマト】
パナソニック(株)ロボティクス推進室 開発1課長 戸島亮氏

 

〇大規模施設導入における生産の早期安定化のポイント
農研機繕野菜花き研究部門 施設生産ユニット長 東出忠桐氏

 

〇わが国のピーマン・トウガラシ類の品種・生産技術の動向 【ピーマン・トウガラシ】
農研機構野菜花き研究部門 ナス科ユニット長 松永啓氏

 

〇パプリカ大規模生産の国産ネットワーク NaPAの取り組み 【パプリカ】
(株)Tedy代表取締役、NaPA会長 林俊秀氏


〇ピーマン生産の環境制御による多収化とICT利用の実証 【ピーマン】
鹿児島大学農学部環境情報システム学研究室 准教授 神田英司氏

 

〇ナス・スイカ大規模産地のICT・AI利用による収益性の向上 【ナス・スイカ】
熊本市農水局長 西嶋英樹氏

 

〇先進的大型施設でナスの30t/10a採りをめざす多収生産の実際 【ナス】
JA全農耕種総合対策部 高度施設園芸推進室長 吉田征司氏

 

〇キュウリで50t/10a採りをめざす多収生産のための環境制御と栽培管理 【キュウリ】

(株)誠和。研究開発部研究課 須藤裕子氏

 

以上となりますが、トマトでは収穫ロボット等に関する演題が1題のみで、イチゴはありませんでした。またキュウリ、ナス、ピーマン、パプリカが2題ずつあって、この分野の品目展開が進んでいることが感じられます。長らくトマトを中心に施設園芸での環境制御技術が進んで来たと思いますが、ここに来て多くのチャレンジと実績が出てきたことは、注目すべきでしょう。

 

高軒高ハウスと中・低軒高ハウスでの栽培実証

 

もうひとつ、分類をしてみます。実際の栽培や実証試験などで、対象としたハウスがフェンローハウスなどの高軒高によるものか、一般的な中・低軒高によるものか、該当するものを【 】内に記します。

 

〇農林水産省の施設園芸関係の施策および、自然災害への対応
農林水産省生産局園芸作物課 花き産業・施設園芸振興室 課長補佐 角張徹氏

 

〇スマート農業プロジェクトの施設園芸分野の取り組み
農研機構野菜花き研究部門長 坂田好輝氏

 

〇大規模施設園芸におけるJCT化とその波及効果 【高軒高】
大阪府立大学研究推進機構植物工場研究センター 特認准教授 大山克己氏

〇トマトの収穫ロボット等の省力化システム
パナソニック(株)ロボティクス推進室 開発1課長 戸島亮氏

 

〇大規模施設導入における生産の早期安定化のポイント
農研機繕野菜花き研究部門 施設生産ユニット長 東出忠桐氏

 

〇わが国のピーマン・トウガラシ類の品種・生産技術の動向
農研機構野菜花き研究部門 ナス科ユニット長 松永啓氏

 

〇パプリカ大規模生産の国産ネットワーク NaPAの取り組み 【高軒高】
(株)Tedy代表取締役、NaPA会長 林俊秀氏


〇ピーマン生産の環境制御による多収化とICT利用の実証 【中・低軒高】
鹿児島大学農学部環境情報システム学研究室 准教授 神田英司氏

 

〇ナス・スイカ大規模産地のICT・AI利用による収益性の向上 【中・低軒高】
熊本市農水局長 西嶋英樹氏

 

〇先進的大型施設でナスの30t/10a採りをめざす多収生産の実際 【高軒高】
JA全農耕種総合対策部 高度施設園芸推進室長 吉田征司氏

 

〇キュウリで50t/10a採りをめざす多収生産のための環境制御と栽培管理 【高軒高】

(株)誠和。研究開発部研究課 須藤裕子氏

 

以上のように、高軒高が4題、中・低軒高が2題であり、高軒高が優勢となっています。これは高軒高ハウスでのハイワイヤー栽培によるパプリカ、ナス、キュウリの演題と、熊本や鹿児島における中・低軒高ハウスでのピーマン、ナス、スイカの演題となります。前者はパプリカではすでに一般的であり、ナスとキュウリではチャレンジな内容です。後者は一般的な栽培に対するものです。

 

施設園芸における今後の技術開発動向

 

たった二日間のセミナーの演題で、今後の技術開発動向を占うことは難しいと思いますが、演題だけ見ても様々なヒントが感じられます。その他に、養液栽培と土耕栽培という分類も可能ですが、すべてが養液栽培を指向しているわけではありませんでした。オランダや韓国の施設園芸は品目を絞り発展した経緯がありますが、日本の施設園芸では多様性や地域性が根幹にあって、そのような方向性とは異なるものがあると思います。

 

こうした多様性に対応する技術開発に必要とされるのは、ひとつひとつに対応する技術よりもおそらく汎用的な技術であり、品目展開や地域展開を前提としたものであるはずです。そうした視点を施設園芸に係わるエンジニアは大切にすべきと、セミナーに参加して感じた次第です。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

 

韓国の大規模トマト施設栽培の状況

千葉大学蔬菜園芸学研究室の勉強会「土葉会」のツアーで、トマトの大規模施設栽培を2例、視察してまいりました。日本の大規模トマト施設栽培と比較すると、かなり異なった様相がみられました。

 

韓国の3haトマト栽培施設 散乱光タイプ複層ガラスと補光ランプを装備しています

 

記事はこちら

https://tsuchiya-agri-ce.com/2020/02/02/koreatomato/

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

 

韓国慶尚南道・晋州市の約104ha大規模イチゴ団地

韓国南部にある慶尚南道の晋州(Jinju)市に、「南川下流埋め立て地「デピョン地区」農地組成事業」として、埋立面積約141ha、農地面積約104haというイチゴ生産を行う大規模な施設園芸団地があります。慶尚南道はイチゴ栽培が盛んで、さらにそれを集約化し、品種も統一(金実)しています。生産者数は約150戸とのことで、平均約1haでの大規模イチゴ施設栽培が取り組まれていることになります。

 

河の内側に広がるイチゴ団地のハウス群

 

イチゴ団地の区画

 

 

経営概要

 

訪問した生産者の施設は5000坪で、外国人労働者4名を雇用して11月から6月までの出荷をされていました。洗面器の形状をした1kg詰の包装(3段積みで3kg出荷)と、500g詰のイチゴパック包装での出荷でした。

 

1kg詰の包装

 

韓国国内でもイチゴの価格は高く、生産者のお話では日本円で¥2000/kg程度で出荷され、クリスマス時期には¥3000/kg程度になるとのことでした。

 

500g詰イチゴパックが4つ入りでの出荷形態

 

また東南アジアへの輸出もしており、輸出先では日本のイチゴと並んで販売されているとのことです。

 

栽培と育苗概要

 

栽培施設は団地全体ですべて単棟のパイプハウスで、奥行きが100m程度はありそうなものでした。お邪魔したハウスにはウォーターカーテン装置があり、外気温が-5℃までは無加温栽培が可能とのことでした。暖房装置として電気温風機が、また灯油燃焼によるCO2発生装置がありましたが、今年は平年の最低気温-7℃までは下がらず、-4℃程度とのことです。すべて高設栽培で、ウドンコ病の発生もなく、天敵利用のみで現在は化学農薬の施用は無しとのことでした。

 

単棟パイプハウス群

 

ウォーターカーテンとイチゴ高設栽培

 

韓国製の養液栽培装置類

 

本圃5000坪分の育苗も自家生産でまかなっており、採苗と生産を兼ねたハウスを何棟がお持ちでした。

 

採苗と生産兼用の施設

 

また挿し穂による親株の増殖も行っており、慶尚南道の関係機関で増殖されたウイルスフリー苗の供給を受けているようでした。

 

親株のセルトレイ育苗

 

イチゴ団地の概要と韓国の大規模施設園芸

 

訪問したハウスは200坪程度で、この規模のハウスが全体で2000棟以上あることになります。1経営体の規模も大きく、それがさらに大規模に集約され、品種も統一した生産が行われていることに、韓国の施設園芸の政策の特徴を伺うことができます。またほぼ無加温による栽培で、収量は訪問した経営者の話では単収7.5t/10a程度とのことで、販売単価も時期によってはかなり良く、収益も得ていることが伺えます。また統一品種と施設の集約によって販売面や物流面での施策も打たれているはずで、それが輸出にもつながっていることも伺えかがえました。

 

韓国の大規模施設園芸には企業参入と一般の農業生産者の規模拡大によるものがありますが、このイチゴ団地は後者であり、それも有数の規模となっています。また訪問した生産者の経営に関する数値は聞き取りのため正確さに欠ける面はありますが、スケール感とともに、おおよその実態も把握することができました。すでにこうした経営と大規模化を実現している隣国の韓国の施設園芸の姿勢には学ぶべきところがあると思います。

 

イチゴ団地の碑

 

(追伸)視察のアレンジと同行をしていただいた農研機構野菜花き研究部門の安東赫氏に、碑文の翻訳をお願いしたところ下記の概要となります。安様、ありがとうございました。

 

南川下流埋め立て地「デピョン地区」農地組成事業

 

事業概要:埋め立て面積140.79ha、農地面積104.74ha(262筆)

事業費:8,592百万ウォン(晋州市5,145百万ウォン、韓国農村公社3,447百万ウォン)

農道舗装L=12.7辧排水路L=7.8

 

 


 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

韓国の国立施設園芸研究所とハウス耐久性試験施設

韓国の施設園芸の視察を毎年しています。今年は千葉大学蔬菜園芸学研究室の土葉会という勉強会で企画したツアーへの参加でした。韓国の農村振興庁(Rural Development Administration)に研究機関(National Institute of Horticultural and Herbal Science)があり、そのうちの施設園芸研究所(Protected Horticulture Research Institute)に伺いました。

 

韓国農村振興庁 施設園芸研究所

 

案内をいただいた所長のDr.Leeは、京都大学で農業機械を学ばれ、最近は日本の農研機構にも1年間滞在された方で、日本の施設園芸施策や研究についても精通されていました。所長の説明では、研究所にはハウス、エネルギー、スマート農業(ICT、環境制御)、養液栽培の4分野の研究室があり、各研究施設を見せていただきました。

 

施設園芸研究所の栽培試験施設

 

韓国のハウスのタイプ

 

韓国の施設園芸面積は雨よけハウスも含めて約52,000haあり、日本の面積よりも9,000ha程度上回っています。うち、連棟ハウスが1割程度、残りの多くは一般的な単棟パイプハウスが多いとのことです。養液栽培面積は3,000ha程度(日本は2,000ha程度)あり、装備化が進んでいることも伺えます。

 

 

 

ハウス耐久性の大型試験施設

 

施設園芸研究所のハウス関係の試験施設を見せていただだきましたが、建物の中に実物大の高軒高パイプハウス(軒高5.9m、間口8m程度、骨材のみ)が設置されており、耐久性の試験が行われていました。建物の床面にハウス骨材ががっちり固定されており、側面から油圧シリンダを通じて圧をかける装置が設置され、骨材の歪みなどを実際に調べることが出来るようでした。またハウスのトラスなどに水タンクによる荷重を掛け、同様な調査を行う仕組みとなっているようでした。

 

韓国型高軒高ハウスの耐久試験施設(右側に側圧を加えるアーム群が見える)

 

韓国での大型アーチパイプの高軒高ハウスの普及

 

こうした実物大のモデル試験の他に、シミュレーションソフトの利用もされており、両面からの検討がされていました。韓国では日本ほどでは無いにしても台風や強風のハウス被害、また積雪による被害もあり、強度試験を実物で行うことで、より確度を高めた対策も可能と感じられました。

 

 

 

国立の研究機関にこのような大型試験施設が建設され、担当の研究者も配置されているのは韓国ならではのことです。韓国では大口径のパイプアーチとトラス構造を組み合わせた高軒高ハウスが各地で建設されていますが、こうした普及にも一定の役割が果たされていたものと感じた次第です。

 

施設園芸研究所内の韓国型高軒高ハウス

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

「無人化農場」は必要か?

人手不足が深刻になり、パート従業員の募集をしても予定の人数がなかなか集まらない話しは施設園芸でも良く聞かれます。人手に頼らざるを得ない作業の多い施設園芸のボトルネックとなるのが人集めであり、また集まった従業員の作業能力向上です。未経験の従業員の作業能力は一般的に経験者の半分程度と言われており、特に農場の立ち上げ時には人も足りない、作業能力も足りない、さらに作業計画や作業指示もままならないという三重苦の状態が起こりやすいとも言われています。

 

無人化農場のイメージ

 

施設園芸の現場では、少ない人数で農場作業を回すように様々な工夫や取組がされており、作業の標準化、5Sの励行、ICTを利用した作業管理システムの活用などがあり、ようやく製造業の現場に近づいて来た感もあります。しかし人による作業を前提としたものではおのずと限界があり、また人が集まらない状態となると手の打ちようがありません。外国人技能実習を活用が施設園芸で進んでいることも必然かと思いますが、国際的な賃金格差の低下や、日本の賃金水準が相対的に低下傾向にあることから、外国人の来日と雇用について将来的な見通しも不透明な部分もあるかと思います。

 

製造業並みに機械化、自動化、省力化が進み、施設園芸の生産現場に人がいなくなる日が果たして来るものか、その対策として無人化を前提とした農場について考える必要があるのではと思います。生長し形が変わり、また環境の悪化でダメージを受けやすい植物を扱う施設園芸を、製造業と同列に扱うには無理な点も多いと思います。そこをあえて考えてみる、ということになります。

 

 

果実が露出したキュウリつるおろし栽培

 

画像は、果実が露出していつキュウリつるおろし栽培です。葉かきを十分行って株元の風通しを良くし、果実の視認性も高めることで収穫作業もやりやすい状態と思います。そして農場におじゃましキュウリの姿を見て、夜間に収穫ロボットが畝間を走行し果実を切ってコンテナに詰めて回る光景を想像しました。この農場の畝は100mもあって収穫作業を行って帰って来るのに何時間もかかるはずです。この長い畝をロボットが何台か分散し走行して収穫を行い、キュウリが満載されたコンテナを集積場に置きに戻り、また次の収穫に向かうことを誰もいない夜間にもくもくとこなすイメージです。収穫を容易にするため、葉かきも自動で行って残渣も清掃して回るロボットも別動隊として走行しています。あるいはロボット同士が協調動作をし、葉かき後に露出した果実を別のロボットが見つけて収穫を行うこともあるかもしれません。

 

葉かきと収穫だけであれば、この画像を元におおよそのロボットの動作がイメージできると思います。実際は果実と茎や他の果実が重なったりして、画像では判別できないケース、判別できても収穫動作には至らないケースなど、例外処置も数多く発生するでしょう。そうなると動作の歩留まりが低下し、ロボットの稼働率も向上せず、また人間の手作業による補佐も発生してしまうことでしょう。無人化農場の実現のためには、そうした課題をロボット開発とは別の視点で改善する必要がありそうです。

 

無人化農場への耕種側からのアプローチ

 

ロボットの動作と人間の手先作業の動作を比較すると、動作の許容範囲、作業上の調整範囲などは人間の冗長性は圧倒的に大きいと言われています。許容範囲の狭いロボットの動作では、いずれ人間による補佐が発生して実用化に結びつかない可能性が高くなるでしょう。歴史の長い接ぎ木ロボットの開発でも同様な課題があって、台木と穂木がサイズ的に合う範囲がロボットで接ぐ場合は狭いため、苗質を揃える必要があるということです。これは栽培側、耕種側からのアプローチと言えるでしょう。最近ではサイズが多少揃っていない場合でも、伸縮性のテープを使って接合面をギュッと縛るようにして止める方式も開発されており、ロボットにも冗長性を持たせる技術も生まれてはいます。

 

接ぎ木ロボットにおける冗長性の課題は、収穫ロボット、葉かきロボットなどでも同様にあると思われます。収穫の適合範囲を広くするため、斜め誘引を行い果実同士の重なりを少なくする方法、小葉に仕立てることで葉かき作業をしやすくする方法、節間を長く持たせ様々な重なりを少なくする方法、様々なアプローチが考えられます。またロボット走行をスムースにするための通路幅やコーナーの余裕なども、農場全体のレイアウトを調整することで保持できると考えられます。

 

いずれの方法も、耕種側からすれば従来のやり方を改めてロボットに合わせられたと感じられるかもしれません。しかし従来と同じ方法や環境において無人化農場を実現することは、おそらく不可能と思います。耕種側とロボット側の歩み寄りも必要であり、さらに歩み寄りを超え共通の目標に向けた協業に進めば実用化にも近づくのではないかと思います。

 

無人化農場の実現に向けて考えるべきこと

 

収穫と葉かきという、作業に占める割合が高いものに絞って考察をしてみましたが、その他にも搬送作業や管理作業(誘引、芽かき等)など多くの作業があります。また人間が発見し対処している病害虫防除についても、観察と伝達という作業があってのことで、そこでも無人化の余地はあるものと思います。

 

無人化というコンセプトはあまり語られることはなかったかもしれません。しかし人がかかわらないという前提で農場作業を進めるにはどうしたら良いか?という視点で、レイアウト、品種、栽培方法、仕立て方、果実品質、葉面積など、ゼロから見直してみれば、開発のポイントが浮き出てくる可能性もあると思います。夢物語に終わらせないために、柔軟にこうしたことを考えるべきと思います。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

南九州大学で環境園芸論の講義を行いました

宮崎県都城市にある南九州大学園芸環境学部にて、園芸環境論の講師をいたしました。2年生の環境園芸論の単位講座で、また公開講座として「スマート農業の視点ー施設園芸と環境保全」のテーマで90分の講義となりました。聴講生は50名ほど、また担当教官で環境フィールド科学センター長の山口健一教授のゼミからも多数の専攻生にも聴講いただきました。自分にとって、農業関連機関や企業向けセミナーでの講師経験はあるものの、大学での講義は初めての経験でした。

 

南九州大学環境園芸学部での講義


大学生に向けた次世代の施設園芸について

20歳前後の学生で、農業関係機関や企業への就職を目指す若者が聴講生でしたので、10年先、15年先の施設園芸のイメージについて、まず示しました。人口減少のスピード以上に農業や施設園芸の担い手高齢化が進む一方で、施設園芸面積の現状維持は難しく一層の減少も予想されること、さらに働き方改革の影響が及んで他産業での労働条件の改善と同様に対応を進めないと、雇用確保が難しくなること、こうしたマイナス要因についてです。

マイナス要因をカバーするには様々な形で生産性を上げなければならないこと、生産性の指標として施設面積当たり、労働時間当たり、エネルギー投入量当たりの各生産量があり、それらの向上策についての考え方を示しました。

スマート農業について

生産性を上げるための要素技術として環境制御があること、そのための計測制御機器類はセンサー、空調機器、カーテンや天窓の駆動装置など昭和の頃から実用化されたものが多いこと、最近ではヒートポンプやバイオマスボイラーなど多様化が進んでいること、施設の大型化に従い計測制御点数も増え、制御装置もPCやクラウド経由での操作に変わってきたことなどを示しました。

スマート農業そのものには触れる時間はありませんでしたが、生産性向上のためには環境、労働、エネルギーについて管理指標が必要であること、そのためにはデータにもとづく管理、すなわち見える化が重要であること、経験や勘から数値による管理やコミュニケーションが重要となることなどを示しました。

施設園芸と環境保全について

施設園芸で生産性を向上することは重要ですが、その一方で生産に伴う廃棄物が大量に発生することを示しました。植物残渣、培地、肥料分、廃プラスティック、そして化石燃料の燃焼にともなうCO2発生について示し、それらに対する環境保全策の基本的な考え方を示しました。

基本的な考え方には3Rとして、Reduce(減量)、Reuse(再利用)、Recycle(循環)があり、おのおのの実践例として、暖房における省エネ技術、プラスティックの再生利用、養液栽培での培養液循環システムなどを紹介しました。

CO2については、光、水とともに植物の光合成の原料となること、植物は呼吸に伴いCO2の発生もしていること、環境制御技術の中で半閉鎖系のハウス内でCO2濃度が低下した際に灯油等の燃焼などによりCO2を供給していることを示し、温暖化ガスと言われるCO2が施設園芸では様々な役割にあることを示しました。

実質70分程度の講義でしたが、前列で真剣にメモをとったり、興味がある内容に耳を傾ける聴講生もみられました。2年生には少し濃い内容であったかもしれませんが、次世代の農業、施設園芸を担う学生に、将来を見通した学習のポイントを伝えるための講義としたつもりです。講義の準備にご尽力をいただいた山口先生とゼミ生の皆様には、厚く御礼申し上げます。

 

 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

メルマガの登録・閲覧はこちら

 

JUGEMテーマ:農業

都市近郊農業の経営戦略と品目展開

千葉大学園芸学部蔬菜園芸学研究室が主催する勉強会の土葉会が先日開催されました。野菜関係の研究普及成果や実際の経営の情報などを千葉大学や関東近郊の関係者が報告する会で、今回で第329回例会となる長寿の勉強会です。今回はシンポジウムとして「都市近郊農業の経営戦略と品目展開」として、貴重な講演を聞くことができました。

 

目次 

本文はこちら

 

 

JUGEMテーマ:農業

世界都市農業サミットin練馬

世界都市農業サミットが練馬区などの主催で開催され、世界の都市農業の報告がされるという貴重な場で、うち生産販売分科会に参加しました。一言で都市農業と言っても様々な形があり、それぞれの課題解決の手段としても取り組まれていましたので、その一部をお伝えしたいと思います。
 

 



練馬での都市農業の報告

 渡戸さんという1.3haで年間30種の野菜、うち江戸東京野菜の10種を栽培、庭先販売中心に行う生産者からの報告がありました。出荷形態が他にも市場出荷、JA直売所、レストラン飲食店向けと多様なのが都市農業の特徴であること、物流費低減や鮮度などのメリットと、品揃えのための多品目栽培で農閑期がないデメリットなどがあること、しかし消費者にとっても多様な販売形態があることが都市農業の特徴であることを言われました。また他に都市農業の価値として、加工による付加価値向上、農業の魅力の発信、農業のコミュニティーの構築、災害時に農地でできることなどをあげられました。

 特に加工についてはレストランや菓子店などのつながりが強く、そうしたプロを通じて地元野菜の情報発信や利用がされている事例も報告されていました。しかしスーパーなどでの地元産野菜の販売は実態としてまだまだとの意見もありました。また2015年に都市農業を振興する法律が制定されてから、都市に農地を残す政策が動きだして、練馬には200ha以上の農地があるとのことで、特に都心の農業経営では後継者のいる割合も8割程度と高く、若い生産者が多いのも特徴でした。

 京都の生産者も仲間の一人として登壇され、京野菜の生産から個別訪問販売(行商による顧客を200件)の紹介もありました。この先、東京と京都の生産者の連携があるかどうかですが、販売面での取り組みもいろいろな形で出てくるとの印象でした。またこれから先、遠隔地の農業と都市農業の連携も何か出てこないものかと思った次第です。


ニューヨークのCSA(地域支援型農業)の報告

 NYからNPO活動による60エーカーの有機栽培農園でのCSA(Customer Supported Agriculture)の取り組み報告がありました。CSAは農家を支援する会員が会費を先払いし、販売先を確定して生産を行う形態の農業のことです。会員25名からスタート、3年目で100名になり、また職場向けのCSAを作り、職場に収穫物を送り受け取る仕組みを作ったとのことです。野菜以外にも蜂蜜、果物、家畜にも取り組み、様々なイベントやオフィスに加工品を持ってまわるなどの活動も進め、農家によるオフィス訪問、農場への招待、持ち寄りパーティーなどの企画の紹介もありました。こうした活動の背景にはオンライン販売などとの競合があるそうです。

 メンバーにニュースレターを送り、ユニークな野菜への紹介とレシピを教えているとのこと。データも大切にし、CSAシーズン後にアンケートを送り、半数が初めてのメンバー、また半分以上が女性(20-30台半ば)で、レシピを得られること、新鮮なこと、オフィス配達の利便性が良いとのことを会員が評価しているとのことでした。

 つぎに、子供たちに健康で独立した食習慣を教え、特に若い頃から教えることの重要ということで、ファーストフード中心の生活を改め、料理の基本を教え、種まきから収穫、調理までを体験させ、またコミュニティー作りも教えることで、次の世代にも農業や食について伝えることができるとのことでした。このNPO活動はビジネスとしても成り立つよう工夫されていますが、子供の食生活改善というミッションのための活動をCSAを絡ませながら行っていることが特徴でした。そして食を中心に生活の基礎、健康の基本、経済の基礎が回っていることも強調されていました。


ロンドン市の食料政策と農地拡大の報告

 ロンドン市の大ロンドン庁食糧政策係長の方から、900万人のロンドン市人口のうち300万人の貧困層に食料を届けるための都市農業政策の報告がありました。
 ロンドンの100マイル周囲での様々な流通経路を考えるに当たって、ロンドン周囲に保全されたグリーンベルト地帯があってこれを食料生産に用い、貧困層に食料を届ける流通経路の構築を始めたとのことです。

 「ロンドン食料戦略」を2年掛けて策定し、capital growthと呼ばれる生産拠点(農場)を 3000箇所を目標に設置し、20万人以上がその活動に関与し、うち20%が学生であるとのこと(スケールがかなり大きいプログラムです)、また若者の参加で犯罪率減少、プログラムを通じたコミュニティーの形成も進んでいるとのことです。拠点設置のためには土地所有者の特定から始める必要があったとのことで、ボックススキームというプロジェクトも進め、季節によって様々なボックス野菜を買える仕組みを設け、一般市民以外にも農家とシェフの契約なども進めて、50種類の契約野菜をレストランに配送し、メニューに生産者名を記載してPRも行い、農場スタッフにはボランティアを活用しているとのことでした。

 北西ロンドン地区では、拠点農場以外にも自宅庭で農産物生産する地元民がボックスに野菜を入れる仕組みがあり、また貧困地域にファームガーデンを作り栽培を行う仕組みもあるとのこと。さらに効果があったのは卸売りのための物流倉庫を建設し、ロンドン郊外農地から一箇所にアクセスできる物流網も構築したこととのことでした。これだけ聞くと大きなビジネスを行政が行っているように思えますが、郊外に生産拠点を広めることで、環境面に配慮した生産を高め、おいしく栄養価の高い野菜を配布できる仕組みを構築したと言われていました。

 グリーンベルトでの農地拡大の取り組みの日本への応用はどうか?との会場からの質問に対し、大ロンドン庁の係長の方は、「練馬では農地の保全に成功していると思うし、それを長期的な観点でさらに成功するよう取り組む必要がある。土地の所有者の特定が重要。」と行政マンらしい回答をされていました。


ジャカルタの街中水耕葉菜栽培の報告

 ジャカルタの主婦の方から、狭い土地(住宅地)で政府と協力し「緑の路地プロジェクト」を始めたことの報告がありました。壁面を使った野菜栽培(屋外設置での4段式水耕栽培、レタスや空心菜などの葉菜の月1回収穫)を壁や柵にパイプを張り巡らし培養液を流して行っていること、自宅用の野菜生産と販売のための野菜生産を兼ね、夕方に主婦が作業を行っていること、バザーでの販売や、市民向け教育活動、チンゲンサイ加工品、パクチー栽培。緑豆のジュース加工など、広大な土地が不要な都市農業を報告されました。

 画像を見る限り、下町の塀そのものが、水耕栽培のパイプになって、樹木のかわりに葉菜類が栽培されている様子で、見たことのない世界でしたが、ジャカルタの主婦の創意工夫が感じられ、大変おもしろい報告でした。


都市農業の多面的機能

 他にもいくつかの報告がありましたが、どれも経済活動だけではなく、地産地消、食料安定供給、食育、農商工連携といった農林水産省の施策をすべて飲み込んでいるような活動内容であり、都市農業の様々な多面的機能を発揮しているものでした。食は生活や教育、経済活動の基本であり、生産者はそうしたアクティビストにもなりうるという印象を受けたサミットでした。規模だけでは無い農業の強さも感じられ、またそれらを支える関係者の活動にもスポットが当てられたと思います。

 

練馬区が中心に運営されたサミットでは同時並行で3つの分科会があり、私が参加した分科会では日英韓とインドネシア語の同時通訳(韓国語とインドネシア語の同時通訳までされていました)もあるなど、かなり入念に準備されていたようです。関係の皆様のご努力にも感謝申し上げます。


世界都市農業サミット

https://www.city.nerima.tokyo.jp/kankomoyoshi/nogyo/summit.html


 

ホームページ「農業・施設園芸・植物工場の未来」もご覧ください

 

by 土屋農業技術士事務所 所長 土屋 和

 

JUGEMテーマ:農業